スーパーの営業戦略入門

2015年08月08日

105%程度の予算は立てるな!

3店舗を地域に展開している、片田舎のスーパーマーケット。
先月の野菜部門の売上高前年対比は、120%~131.9%。

この会社のチームが、特別でハイレベルの技術を持っている訳でも、チーフの経験が豊富なわけでもない。
店長も新米店長がほとんど。それも、ベテランの店長やバイヤーが辞めてしまった後の貧弱なチームです。

何故、この様な驚異的な実績を叩き出すことができたのかというと、
それは、
1.彼らが、教えたことを素直にやった(実行した)こと

2.店長が、リーダーシップを取ったこと

この二点です。

ちなみにその売上高を生む原動力となったことは、たった1点です。
それは、トマトの売上高を、前年対比で、各158.7%、182.1%、188%と売り上げたということです。

『安売り・・・』はするな!


売上を上げると言うとき、すぐに考えることが、『特売』です。

特価販売です。安売りです。
私が教えるのは、特別販売です。

安売りは、誰でもできます。
それが、コストを低減し、それを原資にして行ったものでなければ、有効的ですが、
ただの安売りでは、何の意味もありません。
そして、ただの安売りでは、売上が一時的に上がったとしても、本当の意味で担当者のスキルが向上したとは言えません。

ですから、私は単純な安売りはさせません。
単品(SKU)を安く売る場合は、確実に値入れミックスをさせます。

1.どういう単品を品揃えするか
2.どこで展開するか 3.どの様なプロモーションの方法があるか
4.価格設定はどうするか
そして、
5.もう考えられる手段はないか
をしっかり考えてもらい、実行に移します。

当然ですが、粗利益高も売上予算以上の物を実績として出してもらいます。


店長が責任者だ!


この会社の訪問時、会議はチーフだけではなく、店長も参加します。一部のパート社員の方々も参加してくれます。
これは、素晴らしいことです。
何故かといえば、今現場でやっていることを多くの社員で情報共有できるからです。
他のメンバーや部門が何をやっているか、何を成し遂げようとしているか、などを理解していない事が多くあります。
それが、店長であれば、最悪です。

今回の挑戦は、当初の2ヶ月間、ほとんど実績が上がりませんでした。
それは、これまでの惰性という事もありますが、主因は、店長が会議の内容を聞いているだけで、ほとんど現場でチーフ達に関与していなかったからです。

各店長は会議に一緒に参加して、何を、どの様に、何処までの目標で、という内容を理解しているのですが、全くチーフ達をフォローしていませんでした。

2ヶ月目の会議で、
「店長が責任者だよ」
「次回の会議では、チーフではなく店長が進捗状況を発表してください」
と出席者全員を前に私は店長に伝えました。


リーダーという仕事


今まで、この会社では、店長の真の仕事ということを教育できていませんでした。
本当にしないといけないこと、リーダーとしての仕事のことを、です。

しかし、このことは、今まで私が訪問してきた多くの会社で言えることです。

高度成長期、社長がワンマンで経営してきた会社は、特にこのことは顕著に現れています。
いわゆる「社長の顔を見て仕事をしている」と言う状態です。店長ではなく、です。
だから、店長を中心としたチームワークが取れていない場合がほとんどです。そういうことを教えられていないからです。

このことは、会社にとっても、従業員にとっても非常に勿体無いことです。

チームリーダーの重要な仕事は、チームの一人ひとりを成長させることです。失敗も成功も共に分かち合い、経験を積ませ確実の力を付けさすことです。
結果としてのチーム力アップ、そして、リーダーの成果に繋がるのです。


低い目標では、力は付かない!


私は、今回のような重点商品の売上を伸ばすという場合、目標は、最低前年対比150%です。

チーフや店長に、
「目標は、いくら・・・?」
と聞くと、殆どの場合、
「105%」や「110%」という答えが返ってきます。

私が、「最低でも150%」と言うと、目を丸くして、ビックリします。
そういうことをやった事がないからです。

単純に考えても、野菜部門の単品の売上高で、ダントツでナンバーワンのトマトですから、ビックリするのも仕方はありません。

私が、目標を高くするのには、理由があります。
それは、人間はチョット頑張れば届く程度の目標であれば、大した努力をしません。


目標設定が高い訳


私が、目標を高く設定するのには、訳があります。

一つは、目標が高ければ、「もうやれる事はないか・・・?」と真剣に考えます。この考えるということが非常に重要なことなのです。

そして、実行します。
言うまでもなく、しっかりした計画を立てて実行すれば、いやでも、それなりの結果は出てきます。
たとえ150%に届かなくても、130%や140程度の結果が出ます。

二つ目は、その実績を出した時点で、実行したチームには、それだけの実力が既についているということなのです。
そして、殆どの場合、1、2ヶ月後には、目標を達成してしまいます。
当然のことながら、店長もチーフも自信が付きます。

そして、その自信が、仕事のやる気に繋がります。

三つ目は、単純な算数ですが、ダントツに売上高を伸ばすという方法が、部門の売上高を大きく押し上げます。
せっかく努力するのですから、賢く行動することが重要です。


お客様視点が、生産性を生む!


それと、忘れてはいけないことは、売上高が高く、お客様の支持の高い重点商品に焦点を当てて努力するということをやるという事です。

お客様の望むことをやる事が、マーケティングの基本です。
そして、売上高の基礎ベースが高い物を売り込むということは、費用対効果が抜群に高いことを意味します。

お客様から見ても、魅力的な店に感じます。
このことは、業務改善の基本中の基本でもあります。


売上を上げる簡単な方法

そして、もう一つ、今回の場合、チラシなどを特別に蒔いて、お客様の数(購買客数)を増やして売上を上げたわけではありません。

日々来てもらっているお客様に、
「良い商品がありますよ・・・」
「こんな使い方もありますよ・・・」
「これ美味しいですよね・・・」
と語りかけただけなのです。

少し、やり方を変えただけなのです。



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