リサーチレポート

2010年10月10日

イトーヨーカドー食品館・阿佐ヶ谷店(新店)視察レポート

昨日(10月8日(金曜日))イトーヨーカドーの新店・阿佐ヶ谷店を視察しました。
阿佐ヶ谷店は、イトーヨーカドーのスーパーマーケットの業態です。

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JR阿佐ヶ谷駅を降りて、北口バスロータリーを挟んですぐの立地。
東急ストアの跡地への出店とのこと。

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昔ながらの商店街の通路を少し進むと狭いエスカレーターがあり、そこが店内(地下)の入り口。

エスカレーターを降りると、
一瞬「どうなってるの?」と思うような感覚がある。

それは、通常のスーパーマーケットとは違うレイアウトであるからです。

エスカレーターを降りると、壁面に当たり、左に誘導するレイアウト。
右にはレジが並んでいる。

惣菜、パン、洋日配(洋日配裏側に酒)、
左に折れると主通路沿いに和日配、精肉と続き、
突きあたりを左に曲がり鮮魚、
そして、最後が青果売り場です。


通常、青果から進み、和日配、鮮魚、精肉、洋日配、パン、惣菜、酒というようなレイアウトの店舗が、圧倒的に多いのですが、この店舗は、ほとんど逆の売り場配置です。


これは、都内、特に駅前立地の小型店舗では、
非常に有効的な売り場配置です。

特に、夜間ともなれば、
電車が到着すると、電車から降りたお客が一斉に押し寄せます。
仕事帰りで、
「手間をかけずに短時間で夕食の準備をしたい」と考えるお客が多いため、
惣菜などの簡便商品の売り場が賑わいます。


おそらく惣菜の売り上げ構成比は、かなり高くなるものと予想されます。


逆に青果部門は、
一番奥に配置されているため、一般的なレイアウトの店舗と比べて、売上高構成比の低下が考えられます。

しかし、
これはあくまで、売る側の部門と言う縦割りでの考え。

お客様からしたら、
「サラダを食べたい」、
「時間を出来るだけ使わなくて晩御飯の支度をしたい」
などと言う視点から考えると何の問題もありませんし、
野菜全体(原料+カットなどの加工品)の販売額は、
大きく伸びる可能性が有ります。


惣菜コーナーを進むと、
店舗の広さに比べるとかなりの尺数を取って、
カットサラダやカットフルーツの売り場が充実しています。
また、
食べ切りサイズのお漬物なども多く、目を引きます。


精肉は、
ほとんどの商品が、アウトパック対応です。
しかし、
惣菜と同じく、少量(食べ切りサイズ)のSKUの取り組みは、徹底しています。
感心するのは、「国産牛細切れ50g」・「 〃 100g」といった定量商品。
ステーキでも100gの定量SKUが有ります。
その他、
ホットメニューの時季ということで、
「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」といった鍋メニュがコーナー化され、
丸皿や少し大きめのパックや盛り付けを工夫し、
少し離れた位置からも目を引く縦割り陳列がされています。


そして、
精肉売り場の対面のゴンドラエンドとラウンドの低多段ゴンドラには、
加工食品の鍋商材全般が陳列され、
鮮魚売り場や野菜売り場の中心に配置され、関連販売のゾーニングしっかりされています。

ちなみに、
大阪で有名な「旭ぽん酢」も4フェイシング確保され、売価も688円と大阪と同じ価格で販売されています。


鮮魚売り場は、
対面売り場が有ります。
バックルームは、狭いのですが、
調理風景が見られるので安心感が伝わります。

対面の平ケースには、
生魚やお刺身が鮮度感を出して、販売されています。
品揃えもよく、お造りの貝盛りや盛り合わせなど見た目にも楽しい売り場づくりがされています。

当日は、中央の冷蔵平ケースで、カキをメインで販売。
ホットプレートを使ったカキの試食販売を行っており、人気を呼んでいました。


青果売り場は、
150cm程度の冷蔵ラウンドケースを思わせる平台(棚付き)が2台あり、
鍋物関連や松茸などの季節商品やサラダ商材を中心に展開していました。
定番の多段ケースは、棚板を4枚設置して、短い売り場尺数をカバーし、品揃えを確保しています。
ここでも、調理用途別のカット野菜が充実しています。


加工食品では、
先ほど紹介した、鍋物関連商品の他にも、
精肉の売り場の対面のエンドには、カレーやシチューのルーなどが陳列されていて、精肉売り場に近く用途関連を十分考慮した売り場づくりになっています。
野菜売り場のそばには、
サラダ関連のドレッシングやマヨネーズ、オリーブオイルなどが配置されています。

定番は、
こだわり品も適度に配置され、品揃えの豊富感や楽しさも伝わってきます。
その他、気付いた部分では、

・酒の売り場につまみコーナー(スナイダーズの小袋ほか3尺)
・焼酎のワンカップコーナー
・水売り場の充実
関連商品陳列が各所に見られる

など、主張するところは確実にフェイシングを取り、メリハリがきいた解りやすい棚割りになっています。


日用雑貨は、
小型SMとして絞り込んでいます。
ただ、7台のゴンドラに実用衣料(肌着類)を2台確保。立地や競合状況を考えた品揃えかと考えられます。



設備面では、
青果や鮮魚売り場の照明は、LED照明を使用。
電気代や空調費などの光熱費の低減
商品の熱や紫外線による陳列商品の劣化防止の工夫がされています。
その他、
電子棚札が配備されていますが、非常に鮮明で見やすくなっています。

冷蔵多段ケースの温度表示の液晶パネルが設置されていて、
解りやすく、従業員の温度確認が常にできることと、
お客様にも安心感を与える良い方法であると思います。



内装全体は、シンプルで温かみを感じます。
無駄な装飾もなく、管理面でも簡単でコストがかかりません。



また、
定番ゴンドラ最上段はストック置き場になっていたり、
カレーの大箱などは、縦陳列にして、使用ゴンドラ台数を抑える工夫が見られます。
その他、精肉のアウトパックなども含めバックヤード面積の縮小(売り場拡大)の努力やアイテムごとの販売点数と補充作業を勘案した売り場の工夫もしています。


とは言え、
まだ開店したばかり。
今後の修正も含め、定点観測で見て頂ければ、大いに学ぶところは多いと思います。

また、
今回、30分程度の視察であったため、
ほんの一部分しか観察できていません。

ぜひ、
開店時や夜間の品揃えの変化や、
オペレーションなども見せて頂きたいと思います。

皆さんも、
時間をしっかり確保して、1日観察して頂ければ、
多くの事が学べると思います。

見る価値がとてもある店舗だと思います。

都市部の企業に限らず、
地方の企業の皆さんも、
少子高齢化や生産人口の減少など、定量的に構造変化が具体化している現在、
今後の品揃え計画など学ぶべきことは多いと思います。


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チラシを配布するスタッフ


阿佐ヶ谷駅まで、
新宿駅から電車で約11分
品川駅から 〃 約30分、
東京駅から 〃 約30分、
羽田空港から 〃 約約55分
です。

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