コンサル・こぼれ話

2008年10月02日

継続は、力なり

営業利益  5,491,690円増、
人件費      110,469円増、
荒利益額  5,887,726円増、
売上高    6,295,957円増

私のクライアント、近畿地区にある、スーパーマーケットの青果チームの2006年度と2007年度を比較した実績数値です。

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チーフSさん(54歳・男性)と担当者Tさん(34歳・男性)、パート社員(女性)3名のチームの1年間の成果です。

Sさんは、百貨店の果物売り場を長く務めた、果物の専門家。Tさんは、コック見習いの経験を持つハッキリ言ってど素人。

指導に入らせていただいた2005年当時は、毎年順調に売上を下げる(笑)、何処にもあるスーパーマーケットでした。

売り場では、鮮度の悪い野菜が並び、果物は、値段の高いマスクメロンやマスカットが何個も陳列してあり、在庫は山盛り。そして、バックルームを覗くと、売り場から引き上げられた、鮮度劣化した野菜がコンテナに何杯もあり、冷蔵庫のドアを開けると在庫が天井まで満タンに積まれていました。

社長は最初の面談で、「先生、とにかく青果の売上を上げてください・・・」とのこと。
私は、「無理ですッ」と即答した。正確には、今売上を追求すると、「もっと、お客様にご迷惑を掛けてしまう」という意味です。


■ とにかく「8時半まで」に、店に入りなさい

Tさんは、中央市場に毎日行って、「店に着くのが9時から、遅ければ10時をまわってしまう」という。この時点で私は、ピンとくる。「まともに市場に行ってないな!!」

私は、「朝、まともに起きれてない!?」と覚り、他の部門の従業員に聞くと、「かなりお酒が好きで、毎晩遅くまで飲み歩いているらしい」とのことです。

また、その当時のTさんは、パート社員からの評判も最悪で、「Tさんを辞めさすか、私を首にするか、どっちかにしてください」、「一緒に働くのは嫌です」という方もいらっしゃったほどです。

私は、Tさんと話しをして、
「毎日8時半までに店に入ること」
そして、
「市場に仕入れに行くのは、週2回でいい」
と2つの条件を言い渡しました。そして、店長にその旨伝えて、日々フォローしてくれるように御願いしました。

なかなか直ぐには、出来ませんでしたが、半年ほどしてから「もう大丈夫です」と照れくさそうに、本人から報告を受けました。このころには、毎朝二日酔いで眠たそうにしていたTさんの顔も、すっかりやる気に満ち溢れた清清しい顔になっていました。

■ とにかく在庫を半分にしましょう

Sさんは、果物のプロと本人も、他の社員も思っています。さすがに、百貨店でお仕事をなさっていたというだけあって、商品の陳列や包装などは、いい技術を持っています。

そのプロに私は、
「在庫が多すぎます。とりあえず在庫を今の半分にしましょう」、
「在庫を減らせば、もっと楽に商売ができますよ」と話した。
そうするとSさんが一言。「先生、在庫減らして、売上取れますか?」

私は、「もし売上が下がったら、私が責任を取ります」といって無理やり納得してもらった。

1ヶ月ほど経ってSさんが、
「先生、在庫減ったら、ほんまに楽ですね」
「この歳になって、はじめて分かりましたわ」
「今まで、在庫もって無かったら怖かったけど、うそみたいやわ・・・」

Sさんの変身ぶりには、私が、一番びっくりしました。正直言って、「歳行った、Sさん大丈夫かな?」と正直思っていたからです。

■ これでスタートがきれる

本格的な技術指導が始まったのは、半年を過ぎたころからです。
「指示書を書きなさい」
「冷蔵庫の在庫を0にしなさい」
「毎日15時に、鮮度チェックをTさんが、1品1品確実にやりなさい」
と、この3つのことだけを先ず、確実にやっていこう。

在庫は、早い時期にかなりいい状態になってきました。しかし、最後に残ったのは、加工指示書です。
Sさんは、きっちり書いてもらって問題ないのですが、Tさんは、今まで、目先の行き当たりばったりの仕事しかしていなかった癖がなかなか抜けません。その当時は、パートさんから仕事の指示をされていたようです。

しかし、Sさんと周りの協力もあり、2、3ヶ月で形になってきました。

そして、「よし、来月から野菜の荒利予算を20%で走るぞ!!」と私が言うと、
Tさんが、「良いんですか本当に?」とびっくりして、私に言います。
今までの野菜の荒利益率予算は、25%だったからです。(一度もまとも、達成したことはなかったようですが・・・)

私は、社長の了解を頂いて、野菜を戦略部門として新たにスタートしました。

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このころには、店内で一番多かった、野菜の鮮度に対するお客様からのクレームが、ほとんど無くなっていました。

そして、Tさんに対する青果部門のパートさんからの評価が180度変わりました。
「Tさん変わったわ・・・」
「あんなに、頼りなかったのに・・・」
「先生、すごく仕事やりやすくなりました、Tさん褒めてやってください」
と、まるで母親みたいです。(事実、それくらいの年の差なんですが・・・笑)


■ 営業利益  5,491,690円増達成

2007年度、対前年比549万円の営業利益改善です。
草野球チーム(嫌々やっている、野球嫌いの・・・笑)が、高校の野球チームになった瞬間でした。

技術的には、まだまだですが、彼らには基礎がしっかり出来ました。確実に経験を重ねれば、間違いなくプロになれることでしょう。これからも、もっともっと大きい成果を出し続けることでしょう。

一店舗だけのお店ですが、彼らが成し遂げたことは、とてもすごいことです。そして、私自身も、そのお手伝いを一緒にすることが出来て、とても嬉しく思います。

クライアントの成功が、私たちコンサルタントの一番の喜びです。そして、私自身も彼らのおかげで、また、良い経験と勉強をさせていただきました。

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