スーパーの経営戦略入門

2008年12月15日

改装オープン5ヶ月、売上高、前年伸長率142%

私のクライアント企業の青果部門の11月の前年対比の実績数値です。

リニュアル・オープンから5ヶ月間、135%から150%で推移しています。

店舗全体は、125%から130%で推移しています。


この青果部門の数字が良い原因は、営業戦略に現場の実行レベルが伴っていることが上げられます

改装前、私とチーフ二人で、営業戦略を立てました。

コンセプトは、「高鮮度品の提供」と「美味しさの提供」です。


その具体的戦術は、

 1.「地場農産物売り場」の導入
 2.「鮮度」と「味」のチェックの徹底
 3.在庫の適正化
 4.果物の品揃え強化
 5.カットフルーツなど付加価値品の品揃え強化

などです。どれといって、目新しいものではありません。

しかし、私がこだわったのは、「戦略の理解」と「現場での行動の徹底」です。

今でも、月に一回の訪問指導日は、売り場で何度となく「戦略の確認」と「改善」指導を繰り返し行なっています。

■ 営業戦術


(1)地場農産物売り場の導入

営業戦略的には、ここが大きなポイントになっています。

但し、私が戦略という意味は、一般的に言われる「新鮮」や「安心」、「楽しい」などの品揃えに関することだけではありません。

地場野菜が売れれば、その分本体の野菜の売上は下がります。簡単に言ってしまえば、売上が下がる分手間が省けることになります。

その分浮いた人時を、戦略的にカットフルーツや試食販売、メニュー提案POPの作成などの「付加価値戦略」の作業に確実に廻して使おうということです。


(2)「鮮度」と「味」のチェックの徹底

「採り立て新鮮」、「安心」、「楽しい」が地場農産物売り場のコンセプトです。一方その他の農産物が、採り立ての野菜の「鮮度」に負けないように、チーフが直接(人任せにしないで)鮮度管理を行なうことと、果物やトマトなどの糖度確認と表示を日々行い、「味へのこだわり」と「自信」を持ってお客様に商品を提供しようということを心掛けています。


(3)在庫の適正化

月曜日に、直近の一週間の単品別・日別・曜日別の販売実績データを出力して、売り場の陳列量とフェイシングの拡縮、バックルーム在庫の管理、そして、発注量の決定に活用しています。


(4)果物の品揃え強化

地場野菜が充実しているため、野菜の品出しや補充の作業が少なくて済む分、果物を強化するように考えています。
重点商品のSKUの拡大と輸入果物や珍しい果物の品揃えをするようにしています。
また、品揃え商品は、劣化する前にカットフルーツにして、「ロス対策」と「品揃え強化」を両立しています。


(5)カットフルーツなど付加価値品の品揃え強化

カットフルーツは、定期的に技術指導を行い、「基礎」と「応用」の訓練をパート社員中心に行なっています。その他、レシピーとリーフレットを掲示したり、みかんなど産地ごとの「食べ比べ試食」や糖度表示の徹底を行なっています。

以上のように、現場に即したオペレーションの改善を日々行い、「少しずつでも確実に進化」していっています。

これが結果的に、実績数値に結びついているのです。そして、担当者全員の「意識の向上」と「スキルアップ」に繋がっています。


■ 分厚い計画書はいらない


ここの店舗では、分厚い計画書は一切作っていません。

コンセプトも簡単です。

戦略、戦術もすぐ頭に入るものばかりです。

パート社員やアルバイト、誰でもが簡単に理解できます。


目標が達成できない、何をやっても長続きしない会社や部門は、会社のビジョン(目標)、戦略、戦術、組織計画(適材適所)、行動計画そして顧客までの一貫性が追及されていないからです。

そして、社長、役員、部長、課長、係長、担当社員、パート社員という組織においても、コミュニケーションが取れていないことが、効果を最大化できない原因です。


繰り返しますが、分厚い計画書やダラダラした会議は、時間とコストの無駄です。

限られた資源を有効活用することに努力しましょう。必ず成果は現れます。


ちなみに、この青果部門、改装前よりパート社員が2名減っています・・・・。

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