スーパーの業務改善入門

2016年01月26日

生産性アップは、営業利益と報酬アップ(1)

あなたの会社の生産性は、高いでしょうか・・・?

生産性が低いと言われる日本。
「勤勉でよく働く」というイメージの日本人なのに、なぜでしょうか。
私が、感じることの一つが、「勤勉で良く働く」の「良く」という部分の意味の捉え方です。
この「良く」という言葉が指すものは、「朝から晩まで」という様に、「時間的に長く」、と言う意味や、「辛い仕事を我慢して」という様な意味で、使われてきたと思います。
しかし、会社の営業利益を拡大し、従業員の報酬をアップさせるためには、「良く」ではなく「どう」働くかが重要なのです。
そして、ここ数年問題になっている、過剰労働。いわゆるブラック企業のレッテルを貼られないためにも根本的な改善が求められます。

コンサルタントとして、中小零細のスーパーマーケット企業の現場を見続けきた、あくまでも私の感想ですが、8割以上の企業で生産性が低いと感じます。
そして、その中の8割の企業は、とんでもなく低いと言えるでしょう。


生産性が低い訳

スーパーマーケットは、生鮮食品のウエイトが高く店内加工や鮮度管理を基本とし、人手に頼る労働集約型の業態です。
ですから、特に人時効率が、競争優位上も営業利益上も、大きな意味を持っています。

問題の根本は、生産性というものに対して、会社が目標を持っていないことにあります。
私の知る限り、売上や粗利益の予算はあっても、人時売上高や人時生産性の予算は無い企業がほとんどです。
その中でも、売上高と粗利益率に対する予算だけを見ている現場がほとんどです。
また、人時売上高や人時生産性の予算がある場合でも、実績表にデータが乗っているだけで、活用されず形骸化してしまっています。

ビジネスをしている以上、営業利益高を目標とすることが当たり前のことです。そして、粗利益高を部門ごとに設定し戦略的に営業活動をすることが重要です。
競合状況が厳しく、例え売上高が伸び悩んでいたとしても、生産性が高ければ、営業利益高をある一定に確保することは可能です。
目的目標が最初から、的からズレてしまっていれば、目標に到達することはほぼ有り得ません。


生産性=儲けの理解

生産性の持つ意味は、使った時間やお金に対して、どれくらいの利益(付加価値)を生み出すことができたかということですから、時間やお金を如何に有効的に使って、多くの利益を上げるかを目的にすることの概念を持つことが必要です。

生産性が低い場合現場では、全体としての労働時間が多くなり、残業も発生してくることとなりますので、結果的には、営業利益は低くなります。

生産性は、費用対効果です。
投入した人時、投資したお金に対してどれだけの現金を稼ぐことができるかという概念をしっかり持つことが重要です。そして、現場の店長やチーフレベルまでしっかり意識付を行い、そのことを浸透させて共有することが必要です。


人件費は投資と理解すべし

スーパーマーケットにおいて、最大の経費は、人件費です。
最優先で管理(コントロール)すべきは、人件費です。
ここで人件費は経費ですと言いましたが、これは、損益計算書の勘定科目上のことです。

生産性を考える場合人件費は、投資と考えるべきです。
現場の個人個人の業務スキル、マテハン機器の導入とその使い方、店舗レイアウト、在庫(数量)管理、POSの活用、稼働計画、仕組みづくり、人事制度、本部機能、会議やリーダーシップなど、多くの課題が現場では発見できます。
ただ、逆に言うと、企業間格差はあるものの、これらことに改善余地が大いに有り、大きなチャンス(資産)が会社の中に眠っていると言うことが言えます。

そして、これらのことが、全て『人に関わる』ことなのです。ここにしっかりと着目することが重要です。
投資であるのですから、人時売上高と人時生産性を高める業務改善が、会社の成長の基盤を築くことになるのです。


利益を再投資する

会社を維持発展して成長するためには、適正利益を出して、それを再投資するという戦略的な見地を持つことが重要です。

厳しい競争に打ち勝つためには、商品開発や売場作り、そして接客において独自性を作り上げ、マーケティングの知識や技術の原理原則の正しい基礎を学び、日々実行することによって現場は、実践力を向上させます。


その為には、人という資産に対して、セミナーやコンサルティングなどによって、教育訓練を戦略的に継続して行い、資産価値を高めていかなければなりません。
そのことの努力が、競合店に対して差別化を実現し、お客様の支持を得て、競争力を高め、業績の向上へとつながるのです。
小手先のノウハウではだけでは無く、理念、戦略、原理原則の知識や技術の習得が、会社の中長期的な成長の根幹となります。


コストセンターとプロフィットセンター

このような意味合いから、コストセンターとプロフィットセンターの理解も必要です。

コストセンターは、基本的には経費を抑えて時間あたりの作業の処理量を増やすイメージです。本部のサービス部門(経理や事務、物流など)がこれに当たります。
プロフィットセンターは、利益を生み出す部門です。店舗を中心とする営業部門がこれに当たります。
新たな商品やサービスの開発と提供を継続的に行い、利益額を拡大することが求められるのです。
また、店舗内においても、コストセンターとプロフィットセンターの概念は必要です。平たく言って、ケチるものと、時間(人時)とお金を注ぎ込む(投資する)ものとのすみ分けをハッキリさせて行動することが重要です。


戦略的パート社員の活用

解りやすい事例は、パートタイマーの女性従業員です。

5年、10年勤続のベテラン・パート社員でも、商品加工や品出しなどの単純作業しかしておらず、時間あたりの処理量も多くないという事例は少なくありません。
一方、高度の調理技術や陳列演出の技術を有していることや、試食販売で確実に販売量を伸ばせること。コピーライティングの高度の技術有して、営業力のあるPOPを書いていることなど、高い付加価値を生み出している事例があります。

個人のやる気もありますが、会社側が戦略的に従業員の教育と訓練を行い、その貢献度に対して人事評価制度で報いるという、生産性を向上させるための仕組みづくりが、チーム力を高め大きな成果へと繋がります。

また、このような仕組みが整っていの会社であれば、新規採用に於いても、高い時給の設定が可能になり、優秀な人員を採用できるチャンスも増えてきます。そして、短期間で高技術を持つ従業員に育て上げることが可能となります。


生産性向上に舵をとれ

先述したように、生産性を向上させるための要素としては、個人個人の業務スキル、マテハン機器の導入とその使い方、店舗レイアウト、在庫(数量)管理、POSの活用、稼働計画、仕組みづくり、人事制度、本部機能、会議やリーダーシップなど、実に多くのことが考えられます。

要は、『仕事の仕方』なのです。

あなたの会社でも、やれることは幾らでも有るはずです。今からでも、決して遅くありません。業務改善のスタートを切れば、成果は確実に出てきます。


サミットリテイリングセンターは、スーパーマーケットの生産性アップの多くの実績を持つ、『業務改善専門』のコンサルティング会社です。なんなりと、お気軽にお問い合わせください。きっと、問題解決の答えが見つかるはずです。


【つづきの記事】
生産性アップは、営業利益と報酬アップ(2)http://www.summit-rc.com/blog/improvement/2830/

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■生産性の向上に舵をとれ! ⇒http://www.summit-rc.com/blog/2770/

■最低賃金のアップと生産性の向上http://www.summit-rc.com/blog/manage/228/

■最低賃金など考えるな!(1) http://www.summit-rc.com/blog/improvement/738/

■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (前編) ⇒www.summit-rc.com/case/2714/



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