スーパーの業務改善入門

2008年02月01日

メタボなお店・在庫編

メタボな会社は非常に多い。在庫、人、資材などの過剰は、スーパー・マーケットの経営を悪化させます。
そして、在庫過多のデメリットを真に理解している会社は少ないように思います。正確にいうと、少しは解っているけど、減らせない会社が多いのではないかと思います。

私は、コンサルタントという仕事柄、数々の会社やお店のバックルームを見ることが出来ます。在庫が溢れて、何処に何があるか分からないバックルーム。埃の積もった商品や期限切れの商品もあったりします。その一方、整理整頓されて整然としたバックルームもあります。企業によって様々です。

そして、売場において前者の場合多いのは、ラーメンやペットボトル飲料などいつもワンパターンで、目新しい商品が陳列されていない場合が多いように感じます。一方後者の場合、目新しい商品が豊富にあり、鮮度感のある売場が多いように思います。

在庫削減の目的の真の理解


在庫は、棚卸の時だけ少なくても何の意味もありません。経営の本質を理解していない会社は、目的と方法を理解できません。当然、普段取る行動がお客様を無視した行動になってしまいます。現場をあまり見ない上司が、数字だけを眺めて喜ぶだけで、会社の利益にもお客様にとっても何のメリットもありません。売り場では、棚卸し前後に欠品が起こったりします。

メタボなお店の現場でのデメリットは、数々ありますが、
先ず売場づくりにおいては、変化のない面白くない売場になりがちです。在庫が多いと一つ一つの商品の売場での陳列日数が長くなり、お客様からしたら変化のない売場に見えてしまいます。そして、全体として鮮度の悪い店になってしまう。野菜や魚や肉のような生鮮品は勿論であるが、カップラーメンやビールのような加工食品でも日付が古くなってしまい、結果として、値引きや廃棄のロスが増えてしまいます。
また、変化に対して俊敏な対応が出来ないため、例えば、問屋さんやメーカーさんからお買い得情報が舞い込んできても、瞬時に仕入れを起こすことが出来ません。

作業面においても、多くの弊害があります。
倉庫の整理や先入れ先出し、移動などの多くのムダな作業が増え、ルーチン作業の時間が長くなり、肝心な売り場管理や販売計画、教育や訓練などの主体業務の時間が少なくなってしまいます。チーム全体のスキルアップはなかなかできません。
逆に、筋肉質の在庫が削減できたお店は、全体として鮮度が良くなり、売り場は、新規導入商品であふれ活気が出ます。
ルーチンの処理作業もかなり減りますから、売り場作りや接客、作業改善などの訓練や教育の時間も十分取れるようになってきます。時間が経つにつれ、チーム力は確実にアップします。

財務面で見ると、棚卸資産が増える(多い)ということで、営業のキュッシュ・フローが減ることになります。解りやすくいうとお金が商品や原料で眠ってしまうということです。
では、在庫が減るとどうなるでしょうか。商品や原料が現金に替わるわけですから、現金が金庫に増えるということになるわけです。
そして、そのメリットは大きなものがあります。第一に、借入金がある場合は、返済することによって金利負担を減らせます。第二に、新規の商品を仕入れることにより、売上を上げることは勿論のこと、営業のキャッシュ・フローが全部門、全社レベルになると、その金額が大きくなり、新しい投資に回すことが出来ます。売上や荒利益を上げるために売り場を改装したり、生産性を上げるための設備を買ったり、バックルームを改装することも出来ます。
少し数字の勉強をすれば、在庫削減の効果を最大にすることが出来ます。

念のために申し上げますが、実地棚卸の当日だけ在庫を減らすということは何の意味もありません。現場を常々確認することもなく、短日のデータだけをみて、経営判断をすることの無いように注意しなければなりません。このように、店内在庫は、常に少なくならなければなりません。理由は、以上のようなことからです。
また、在庫を減らすのは目的ではありません。単純に減らすことを目的にしてしまうと、売場で欠品や品切れが多発します。目的は、不良在庫を減らし、商品鮮度を上げることです。競合店と比較して圧倒的に鮮度で勝ることです。お客様に、「この店の商品は鮮度が良い」と言って頂くためです。そして、経営としては、ロスとムダな管理作業を減らし、営業利益を向上させることです。



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