スーパーの業務改善入門

2017年06月26日

人手不足解消と賃金アップ

日経新聞の6月23日朝刊の経済面に、「最低賃金20円超揚げへ」の記事が載っていました。
昨年度の上げ幅は25円ということで、2年連続の20円超の引き上げだそうです。

私は、こういう記事を見たときに、経営者や経営幹部は、「どう考えるのだろうか」と関心を持ちます。

中小零細のスーパーマーケット企業の多くは、生産性アップについて、大きな可能性を持っています。
解りやすく言うと、生産性が低いことが原因で、本当に人手不足である会社は多くないということです。
むしろ、この機会を、今まで慣れ親しんだ低生産性のプロセスを見直し、改善を行うチャンスだと考えるべきです。

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当然のことですが、儲かっている会社と低利益の会社とでは、その影響度は大きく変わります。
また、キャッシュ・フローも経営としては重要です。損益計算書上は黒字経営でも、負債が多く月々の返済額が多い企業の場合、その影響は深刻であると言えるでしょう。

重要なポイントは、生産性の視点です。最低賃金のアップに焦点を当てていてはいけません。
今こそ、会社全体の生産性向上のために、すべてのプロセスを見直すべきです。


賃金を上げよう⁉


「賃金を上げよう」と、私は日ごろからクライアントに言っています。

単純にこれを聞けば、「今でも経営が苦しいのに、何を言っているんだ」とお叱りを受けるかもしれません。

しかし、私は、全く逆に、これが中小零細の会社が今後市場で生き残り、経営を継続発展させるための重要な要素だと考えています。
決して、机上の空論をぶちまけているのではありません。
当然、今までの業務改善コンサルタントとしての経験から、確固たる自信があります。

「給料が低い」という現場の声は、イコール「生産性が低いんです」と同意語でもあります。(ほとんどの場合)
給料が高いということは、現在会社にいる優秀な従業員の定着率を上げたり、新規採用のチャンスを高めることにもなります。


人手不足は本当か?


人手不足を、今起こっている現場の表面的な事実だけで判断してはいけません。
「どうして、そうなっているか」のプロセスを読み取る視点を持つことが重要です。

例えば、レジ部門での人員不足のことですが、
ピークの時間帯に、レジで精算を待っている多くのお客の列を見ると人手不足ということになります。
しかし、その解消方法は、レジの担当社員の頭数を増やすことだけでしょうか。

そもそも、レジを担当している社員のスキルが低いことが問題かもしれません。
チーフのシフトの組み方に問題が有る場合も少なくありません。
元々の各担当者の契約時間帯に問題が有る場合も有るかもしれません。
一時的な不足人員を、店長や事務所の担当者、他部門の応援などで簡単に解決できる場合も少なく有りません。
これらのことなどで、人員不足は意外に簡単に解消できる場合が少なくないのです。

人手不足のためには、計画的な仕組みづくりが重要なのです。
私の経験上、簡単に人手不足を解消でる場合も少なくありません。


生産性を上げれば、人手不足は緩和できる


このことについては、他の私の記事で書いていますので、詳しくは、そちらをご覧いただけたらと思いますが、簡単に要点だけを説明させていただきます。
先ず、多いのが在庫の問題です。
不必要な無駄な在庫は、生産性を落とす大きな問題です。
数日間バックルームに放置されているあの在庫です。
入荷してすぐに陳列されていく仕組みになっている店舗は、問題ありませんが、必ず倉庫に保管するようになっている店舗は、それだけで生産性を大きく落とすことになります。
在庫をカートに乗せず、床に直置きしている場合は、更に現場担当者の作業数を増やし、無駄な時間を使うことになり、生産性を確実に落とします。
売場の在庫管理も、生産性に大きく関わる問題です。高回転商品と低回転商品のそれぞれの在庫が適切に管理できている企業は、決して多く有りません。

その他、
従業員の作業動作、道具の経済的な正しい使い方訓練。
従業員のスキル・アップ計画と評価制度の仕組みづくり。
部門横断の応援体制の構築。
リーダーシップ教育。
POSシステムの戦略的活用。
EDIやEOSの戦略的活用。
など、作業効率を高めて、生産性を上げて人手不足(思い込み)を解消できる方法は、幾らでも有ります。

外食業界で使う指数に、FLコストというものが有ります。
これは、原材料費(Food)とその作業に掛かる賃金(Labor)を足して原価として考えるということです。
お解りいただけるように、在庫が有れば、それだけで移動や保管の作業が余分に掛ってきます。小売業界でも、FLコストの理論を導入して考えることは、生産性を上げる上で重要であると思います。


生産性の算数を正しく理解する


生産性とは、掛けたお金や時間に対してのリターン(付加価値)のことです。
ビジネスを遣っていれば、当たり前に理解しておくべき重要なことです。

しかし、スーパーマーケットの業界では、数字が弱い人が意外に多くいます。
粗利益を儲けだと思っている人が、その典型です。稀にですが、会社の経営者にもいたりします。
そしてまた、生産性と聞いて、経費を削ることしか考えられない人も少なくありません。
無駄な経費を削ることは重要なことですが、それだけでは、会社の発展は望めません。

人手不足(思い込み)を解消するためには、現場の数字(データ)を正しく理解することんが非常に重要なことであり、今後、無駄の少ない行動を取るためにも、しっかりと理解を深めることがリーダーには求められます。

人時売上高は、特に補充作業や加工作業の様な単純作業の処理スピードを診る重要な数値です。
低ければ、大いに改善余地があり、人手不足解消の可能性が高いと考えられます。 人時生産性は、付加価値生産性です。人手を余分にかけても、それに見合うリターン(粗利益高)があれば、積極的に人時を投入すべきです。
このあたりの数値の理解と、戦略的な現場作業の改善と構築が人件費高騰の大きな解決策となるのです。


業務改善の正しい考え方


業務改善というと、堅苦しく感じる人もいると思いますが、決してそうではありません。

簡単に言ってしまえば、
お客様に対して、より良い商品やサービスを提供する仕組みを創ること。
そして、出来るだけ、
それを簡単に早く、そして、楽に提供できる仕組みを創ることです。

その為に、今やっている業務や作業を棚卸しして、現場を観察して、無駄なものは減らしたり、また、無くしたりして、
本来、遣らなければならないこと。遣るべきことに集中して行動する。という考え方とそのための行動のことです。


現場で日々頑張っている人たちの生産性を高めて、時給を高める行動なのです。
結果的に、お客様の支持を得て、会社の好業績に繋げるのです。

私たちは、そのためのコンサルティングを遣っています。
日々現場を観察してみて、感じることは、人手不足というより、生産性が低いという場合がほとんどです。
人手不足、賃金高騰の対策のチャンスは、幾らでも現場に転がっています。
そのことに気付き、チャンスを拾った企業が、厳しい競争に勝ち抜き、発展できるのです。



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