スーパーの経営戦略入門

2009年01月23日

上質化と営業利益

ここ数年「上質化」という言葉をよく耳にします。

とても大事なことです。お客様の日々のお買い物に満足していただくこと、そして、高度化するニーズに対応して日々努力することが、会社や現場の努めであると思います。

しかし、この「上質化」、現場では多くの場合、内装デザインにこだわることや、珍しくて値段が高い商品を置くことであるかのように考えられているように思います。

デザイナーに高いデザイン料を払い、特殊な照明器具や内装設備、什器を設置し、「デパ地下に負けないような売り場にすること」のように考えられている企業が多いような気がします。

本来、「上質化」とは、お客様に提供する商品やサービスの質を高めること。そして、そのために日々改善努力することだと思います。

スーパーマーケットは、『地域のお客様の食生活を豊かにする』という理念の下に、高度成長期の物理的に商品をお届けする物販の商売から、より質の高い商品や情報・サービスなどの付加価値を提供する商売へと進化することであると考えます。

当然のことながら、きれいに磨き上げられた売り場で、地域一番の鮮度と味、そして、開店時・閉店時、欠品無しに商品を提供することです。


儲からない店舗運営


「上質化」をうたっている企業で、営業利益率が低い企業が多いようにも感じます。

ハード面は差別化出来ても、ソフト面が差別化出来なければ、店舗改装で多少売上が伸びても、利益に繫がって来ません。

高い店舗内装費や設備などのイニシャル・コストに対して、運営技術が伴っていない場合が多いように思います。
また、特殊な店舗内装や設備などは、電気代や照明器具その他のメンテナンスなど、ランニング・コストの上昇も伴います。

そして、ソフト面の差別化についても、営業戦略上必須なのですが、計画的に行なわないと、過剰な人時投入を行なうこととなり、生産性を大幅に下げてしまいます。

例えば、ライブ販売と称して、行なうパフォーマンス販売なども、全体の人時を計画的に「掛けどころ」と「抜きどころ」を計画的に行なわなければ、人件費が売上の伸び以上に増加したり、担当者の過剰労働やサービス残業を引き起こしてしまいかねません。

表向きは売上が伸びて儲かっているように見えても、損益分岐点は改装前や既存店舗より下がってしまうようなことになりかねません。


基盤を固める


営業利益を向上させるためには、全員が戦略をよく理解し、基本四原則がある一定レベル以上に遂行出来きるスキルを習得することが必要となります。
そうすれば、ハード面との相乗効果を生み、確実に営業利益を大きく出来るでしょう。

基本四原則の中身は、
 ①鮮度を高位に保ち、それを、お客様が日々実感できること。
 ②欠品が常に無い状態に保ち、      〃      。
 ③売り場やバックルームが清潔で整理整頓され、     〃      。
 ④笑顔で、誠実、親切丁寧な接客ができ、    〃     。
です。

あくまでも「やってる」というレベルではなく、「お客様が実感している」という事がポイントです。

そして、マネジャー(リーダー)による
 ①MD計画を確実に遂行
 ②人時予算の必達・修正
などのマネジメント・スキルが、営業利益を決定します。

このあたりの計画と実行、検証をしっかりと行なうことが必須です。


営業利益の拡大のために


「上質」という戦略で戦うということは、差別化戦略としては有効でありますが、
 1.投資資金の拡大(イニシャル+ランニング)
 2.一部商品の回転率の低下(在庫の拡大)
 3.作業人時の増加
 4.投資を有効化するための社員教育投資(社内、社外、コンサルタント)
などの資金や経費の増加も予算化し、計画を立てることが重要です。

「良い物を安く」のコンセプト(戦略)で、日々研究・努力している企業が、高い営業利益率で成果を出しています。
戦略が誰にでも分かりやすくて、シンプルであるため、現場の各担当者も努力の方向が理解しやすいためでしょう。

「上質」という戦略で戦う以上、今後とるべき行動を今一度、確認する必要があるのではないでしょうか。

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