スーパーの業務改善入門

2014年07月05日

売上は連続前年割れ、『営業利益は、7.89倍』の業務改善事例(4)

基本原則の問題点を優先して改善


青果部門は、鮮度と商品グレードの改善が急がれます。
POSデータを活用する要領を伝え、発注量、加工量、陳列量を徐々に改善してもらいます。
そして、商品のグレードについては、絶対価格と相対価格の違いと、お客様重視で取るべき行動について伝えます。どうしても、目先の売上が気になって、安物に手を出す傾向がみられます。
売ることの前に、お客様の為になる、本当にお客様に喜んでいただけるものを仕入れてお売りする。この当たり前のことを理解させ、行動に移してもらいます。

それと、作業指示書です。
これは、弊社の生産性を上げるための重要ツールです。
※青果部門の作業指示書に関しては、専用の過去の記事をご参照ください。

全体としての生産性を上げることは言うまでもありませんが、部門のメンバー間のコミュニケーション力、チーム力、そして、リーダーシップ力を格段に向上させます。


鮮魚部門の一番の課題は、塩干の品揃えと欠品です。開店時や夕方の欠品の他、数字の正しい理解をしていないために、月末の仕入れを押さえることによる欠品も常態化しています。
これは、荒利益と売買差益の意味を理解していないことで起こります。他社でも多く見られます。 在庫は、常に適正に保たれるべきものです。

これも、お客様の立場に立っていないことの証拠です。売る側の都合になってしまっています。
結局のところ、会社も大きなチャンス・ロスを引き起こし、営業利益を低下させてしまいます。

こちらは、POSデータの確認では、改善できません。
売場で起こっている事実を、開店時、夕方などに現場に立ち、確認し、発注量の拡大と仕越しなど段取りの改善を指示しました。

また、戦略コーナーである、お造りと寿司ですが、盛付けなどは、冗談にもセンスが良いとは言えません。
お造りというよりは、切り身です。
担当者別のスキルの差が有りますので、まず、部門内の教育を行うことを指示しました。


精肉部門は、品質には特に問題は無いのですが、品揃えに問題が有ります。
品質、鮮度、クリンリネスなど基本の部分は、良く教育され一定レベルを保っています。

品揃えに関しては、重点アイテム、それに対する、横縦の品揃えの広さと深さを理解する必要があります。
例えば、お客様の支持の高いミンチ肉ですが、単純に、パックの容量が有ります。これが広さです。料理本などを見ると、ハンバーグの1人分は、ほぼ100gと書かれています。
使い切り出来る容量から大パックまでという様にSKUが充実していれば、お客様はTPOに合わせて、使い分けできます。
また、肉種や産地、グレードなどが深さです。お客様も料理用途や好みによって使い分けが出来ます。


これらの支持率の高いアイテムの品揃えの充実は、意外に簡単に、荒利益を拡大できますし、売上も確実にアップする有効手段です。
要は、お客様の立場に立つということ(買わない理由を無くす)を、現場で実行するということです。

精肉部門のチーフは、このことも含め、色々な改善提案に対して、素直に実行してくれました。
結果として、見る見るうちに、実績数値が向上し、継続的にアップしています。


惣菜部門は、オペレーション全体が上手く行っていません。
チーフの経験不足もありますが、田舎ということもあり、弁当やオードブルなどの別注が多く入ります。ルーチンがスムーズに進みにくいことが多くあります。
また、カートの使い方、作業全体の段取りなど、悪い状態です。これらは、今までの癖が出来てしまっていますので、少し時間を掛けて、訓練の時間が必要です。
ただ、欠品と唐揚げなどの重点商品の品ぞろえについては、容易に売上アップにつながるため、スピードを持って改善するように指示しました。


日配部門は、とにかく欠品対策です。
Aストアの特殊な部分が、豆腐や漬物など、地場のメーカーさんからの直接納品と補充です。
メーカーさんは、商品ロスを出したくない思いから、どうしても納品数量が販売数量に追いついていません。
一番の問題は、担当者の欠品に対する意識不足と、売場担当者とメーカーさんとのコミュニケーション不足です。
こちらも、お客様目線での考え方と、それにこたえる行動を取ることを伝え、改善指示を行いました。


グロサリー部門は、日配部門同様、欠品が多く発生しています。
特売の他、定番の発注もチーフが行っています。これでは、生産性も上がりません。結果的に、チーフが売場全体に目が届かず、手も回らず、売場管理のどれもが中途半端になってしまいます。
また、エンドや平台のマグネットの陳列が何の魅力も感じません。テーマ性もなく、残り物が積み上げられているような状態です。これらの事も、チーフのスキルと共に、仕事の進め方に原因が有ります。
この様に、全体的に作業が後追い状態です。今日中に済ませるべき作業は、今日中に終わる。ということを徹底していくように伝えました。

そして、日配部門とグロサリー部門を同一管理にし、朝は、全員で日配売場の商品補充に回るようなシフトへと改善しました。


この様に、ほとんどの事は、改善にお金のかかるようなことではありません。有効性の高いこと、波及効果の高い物から優先順位を付けて、改善を行っていきます。



重点商品の売り込み


私は、基本的に目先の売上は追わせません。
それは、営業利益の拡大には貢献しないからです。可能性は、0ではありませんが、ほとんどの場合、荒利益を落とし、ムダな作業が発生します。

お客様にご迷惑をお掛けし、不満を招き、会社も荒利益を落とす、定番を中心とした欠品を無くすこと。
そして、他所で売れていて、うちだけが販売していない欠品。
これらを無くせば、大幅な荒利益の向上をはかれます。


それと、重点商品の売り込みです。
ここでいう重点商品というのは、POSデータや家計消費支出データ、食卓のメニューの出現率データなどに出てくる上位品目(メニュー)のことです。
これは、時季、月、週、地域(店)独自などの期間でデータを確認し、情報として利用します。
取組みの最初の内は、各部門上位3~5品目程度のアイテムを重点的に管理していきます。

この取り組みを行うと、上位アイテムが、売上高前年対比150%から、アイテムによっては、200%を上回るものが出てきます。
尚且つ、これらのアイテムの荒利益も大幅に売上高と同じかそれ以上にアップします。



原理原則の教育訓練


重点商品というのは、その時季、会社にとって、売上高が大きいということですが、お客様の支持も高いという商品でもあります。
このことを理解していれば、当たり前の取組みであることは、ご理解いただけると思います。

原則とは、当たり前のことを当たり前にやる。
そして、それを深堀してやるということです。ここが重要なポイントです。
「やっても効果が今一つでない」というのは、ここが抜け落ちているからです。

Aストアは、早い時期からこれに取り組んでくれました。そして、カテゴリー断トツ、ナンバーワンのアイテムが、売上高前年対比260%という様な多くの記録を打ち立ててくれました。
例えば、うなぎの原価高騰で、多くの会社が売上高前年比80%、90%と苦しんでいるとき、Aストアの鮮魚部門のうなぎは、135%を達成しました。

当然のことですが、これらのカテゴリーの売上高は確実にアップします。仮に売上高が思う様に伸びなくても、荒利益高が確実にアップします。


荒利益をアップするための欠品削減。生鮮品の仕入れ商品の品質アップ。上質品のPOPやDVDなどによる情報提示。重点商品管理など。

生産性をアップするための在庫の適正化。作業指示書の活用。カートの効果的な使い方。作業段取り、作業動作、そして両手作業。整理整頓と定位置管理などなど。


原則を知れば、正しい行動を取ることが出来ます。
少しだけ時間がかかりますが、半年後、1年後という様に、時間の経過とともに業務改善の大きな成果となって現れます。


目先の売上を追わないことです。


・・・・・次回に続きます・・・・・


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