スーパーの業務改善入門

2014年06月16日

売上は連続前年割れ、『営業利益は、7.89倍』の業務改善事例(2)

まずは、売場の確認


売場で起こっている真実を確認します。

青果コーナーは、鮮度に問題があります。
どれと言うことでは無く、全体として鮮度感が無い商品が多く見受けられます。
商品によっては、グレードも気にかかります。価格優先になっているものもあります。
また、突出し陳列も多く、通路を狭くしてしまっていて、お客様が買いものし易い状態とはとても言えません。
そして、売場づくりでは、用途関連の陳列になっていません。(商品は分かっているが、その使い方がよくわかっていない)
要するに、プロダクト・アウト(売る側の都合)になっていてしまっています。
これらのことは、全国の中小零細企業の店舗で、多くみられることです。

生鮮品が勝負のスーパーマーケットでは、鮮度に妥協は許されません。

スーパーマーケットで生鮮品の鮮度が悪いということは、日々の来店客数を低下させ、部門の支持率(部門客数÷店客数)も低下します。
本来、生鮮部門が、差別化戦略の要であるスーパーマーケットにとっては大問題です。

しかし、これらの売場の状態を正しく理解していない会社が、意外に多くあります。
当然のことながら、営業利益改善の大きな阻害要因になります。


鮮魚コーナーは、漁港も近く、直接仕入れているということもあって、鮮度感は抜群。

近海物を中心に魚種が揃っていて、非常に魅力的な売場です。
売場は、対面式になっていて、お客様から引っ切り無しに、三枚おろしなどの調理の依頼が入っています。

ただ、お造りや鮮魚寿司の盛付けなど、演出技術は、冗談にもレベルが高いとは言い難い状態です。その他、鮮魚に力が入っている反面、塩干売場の管理が出来ていない状態です。
唐揚やフライ、弁当など、肉惣菜も豊富です。
ただ残念なことは、全体に荒削りで、売り方のテクニックが低く、重点商品の売り込み、その品揃え(SKU)、メニュー提案など、顕在、潜在共に、お客様のニーズを取り切れていない状態です。



総菜コーナーは、手作りの和惣菜が目を引きます。
地域の味を意識した、人気商品です。旬の素材を中心に、『おふくろの味』が感じ取れます。
ただ、残念ながら、新しい取り組みの商品は、ほとんど見られません。(マンネリ)
弁当など、商品の盛付け、陳列演出には、センスを感じません。
また、他の部門と同様、売場づくりの原理原則が理解されていません。



デイリー(日配品)は、地元の豆腐や漬物などが揃っています。よそ者の私からしたら、宝探し的な、中々楽しい品揃えです。 ただ、開店時、夕方と欠品が多く、チャンスロスが多く発生して、お客様にご迷惑をお掛けしている状態です。



グロサリー(加工食品、菓子、日用雑貨)は、売場の完成度がかなり低い状態です。
特に、ゴンドラ・エンドや催事場の陳列・演出の技術は、点数が付けられる状態ではありません。テーマ性もなく、関連が薄く、商品の整理整頓がされていません。
デイリーと同じく、欠品も多く発生しています。



レジ部門ですが、一言でいうと、「暗い!」。 先ず、笑顔が無く、挨拶がまともに出来ていません。異常な色に髪の毛を染めている女子社員もいます。



基本原則の確認


基本原則とは、
・接客接遇に関わる挨拶や身だしなみ
・商品(サービス)に係る品揃えや品質や鮮度、欠品
・クリンリネスに関わる衛生管理、清掃、定位置管理
・効率に関わる在庫管理
などです。

接客と品質に関しては、上述した通りです。

クリンリネスの面では、
エントランス・ホールのガラスドアは、手垢だらけ。
レジ台も、手垢で茶色く変色した箇所が目に付く。
惣菜のバックルームと売り場を挟むガラス戸も油でベタベタ状態。
良く視ると、フライヤー周りも油でギトギト、ベタベタ状態が売場からでもわかる。
鮮魚部門のガラス戸も鱗だらけ。
バックルームの従業員用男子トイレは、小の水滴が飛び散ったまま放置。
グロサリーのバックルームは、在庫が整理されず、バラバラに放置状態。


また、従業員の身だしなみも気に掛ります。
名札は、カバーがヨレヨレ。
鮮魚部門などの白い長靴が汚い。
女性の方を除き、全体的にユニホームがくたびれている。
などです。

これらは、ブログ用の誇大表現ではありません。事実です。


私は、どのクライアントに対しても、現場では、帽子、白衣、白い長靴は、勝負服だと言っています。
自分と仲間の気持ちを引き締め、お客様をお迎えします。
お客様も、そのような店員を見ていて気持ち良いはずです。


在庫は、青果部門とグロサリー部門で、完全に過剰状態です。
これが、売場の品質劣化や欠品に繋がっています。

要するに、ユニット・コントロール(数量管理)、クオリティ・コントロール(品質管理)ともに、出来ていないのです。
この状態では、値引きや廃棄の『商品ロス』や欠品による『チャンス(機会)ロス』を発生させるだけでなく、見切りや商品移動などに、多くのムダな作業を発生させ、多くの『人時ロス』も起こすことになります。

一番大きいことは、お客様の『信頼』、『信用』という、掛け替えのないものを失う結果となってしまうことです。



理念と行動と結果


Aストアのコンセプトは、「地域に貢献する、優しい店」です。
社長は、とても温かみのある、人として、人生の先輩として、大いに尊敬できる、とても、素晴らしい方です。(私みたいな若輩者が、言わせて頂くのも恐縮なのですが)
日々、お客様のため、従業員のため、休まず働かれてきたと思います。
息子である専務も、社長と奥様に、良く躾けられて真面目な方です。

そして、従業員の方々も皆さん真面目で、素直な方が多いようです。(全員ではないと思いますが)

しかし、残念なのが、基本原則の部分は、会社のコンセプトに反して、売場で実行されていません。
思いがあっても、それを形(売場づくり、接客、クリンリネス、5S、鮮度、品揃えなどの基本原則)にする『仕組み』になっていないのです。

今後大事なことは、気付いていない現状の課題を知ること。
そして、それを、お客様目線で検挙に、素直に、優先順位を付けて『改善行動』を取ることです。



課題が多いということは、楽しいこと


この様に、Aストアには多くの課題があります。
単純に考えれば、頭が痛くなるかもしれません。

しかし、これは、素晴らしいことです。

今の状況でも、売上は上がっています。沢山のお客様にご来店いただいています。(儲かっているかは、疑問ですが(笑))
改善を加えれば、もっともっと良い状態になります。

私はオーナーに言います。
「お金が、売場に一杯落ちていますね」
「後は、拾うだけです」(笑)
そうなんです。前向きに考えましょう。
問題が多いということは、その分、大きな伸び代が有るということです。
後ろを向くことは必要ありません。


私は、直感で、この会社が伸びることは見えています。
(時間がどれくらいかかるかは、分かりませんが)

社長のお人柄、専務の真面目さ、社員の方々の素直さ。
Aストアは、一番大切なものをちゃんと持っています。

今日まで、学ぶ機会に恵まれなかっただけなのです。



次回からは、具体的な業務改善の活動をご紹介します。

・・・・・次回に続きます・・・・・


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