スーパーの業務改善入門

2009年09月05日

目標は、営業利益率を向上させること

売上高   93%
荒利益額  98%
人件費   81%
営業利益 130%

以上の数値は、私のあるクライアントの対前年同期の伸長率です。

売上高を対前年比で100%を達成することが、非常に難しくなっています。各社の実績数値を聞いても、90%代の企業が圧倒的に多いようです。

しかし、上記の事例のように、営業利益の対前年比100%を超えることは、十分可能です。

会社の営業活動の目標とするものは、本来、営業利益の確保、拡大です。

売上高が上がっても、営業利益が同じように向上するとは限りません。
目先の売上を上げることばかりを考えてしまい、粗利益率を下げてしまったり、販促費や人件費などの経費を使いすぎたりして、結果的に営業利益が大幅に低下した例は、幾らでもあります。

売上を上げるための活動は大事なのですが、スーパーマーケット、コンビニエンス・ストア、ドラッグ・ストア、ホームセンター、ディスカウント・ストアなど、業態を超えて競合関係が複雑になり、売上高が向上しにくい環境の時代にあって、簡単に売上アップができた、時代の考え方や行動では、営業利益の確保が難しくなってきています。

多くの企業が、売上高を目標にしていますが、売上高や荒利益率は、営業戦略上の手段(方法)であるのです。

先ず、会社の継続と発展のためには、営業利益率に目を向け、改善をはかることが急務です。


営業利益アップを目標に活動すること


営業利益を改善する方法はいろいろあります。

売上が上がる可能性が低ければ、
1.無駄な在庫を削減する
2.無駄な人時を削減する
3.欠品を無くす

などを確実に実行し、そして、
4.余った時間とお金を戦略分野に効果的に再配分する
ことです。

売上を上げること、粗利益率を上げること以外に方法は沢山あります。

粗利益、経費、各要素を少しずつ改善できれば、大きな成果が現れます。


1.無駄な在庫を削減する


無駄な在庫が減れば、大きな営業利益の改善に繫がる可能が出てきます。

無駄な在庫が減れば、

(1)商品の移動や保管のための作業が大幅に削減され、それに関わる人時(人件費)が
   削減できる
(2)在庫保管のための倉庫(本部も含めて)が少なくてすむため、倉庫を借りてる場合は、
   倉庫代の削減効果も期待できる
(3)商品の値引きや廃棄ロスの削減に繫がる
(4)バックルーム在庫が確認しやすくなり、発注時間の短縮と精度が向上する
(5)在庫の分が現金化され、戦略分野に投資できる

など、直接的な営業利益の改善が期待できます。

無駄な在庫には、

(1)定番の品揃え(売れ筋では無いという意味)商品(Cランク以下)
   売り場及び、バックルーム在庫
(2)特売や各種イベントの売れ残り品

などがあり、なかなか現金化できないものです。

対策としては、

(1)POSデータを確認し、定番の対象商品は、発注点を決める
   ex.3個になったら発注する

(2)ベンダーに定番の対象商品の発注ロットを「1」にしてもらう交渉をする
   原価が上がっても、元々利益貢献度は低いので、影響は少ない

(3)企画品の残品は、早期に見切り処分を行なう
  ・損切りを早期にしてしまい、売り場を売れる商品に変えて、次期の荒利益を稼ぐ
  ・    〃       、鮮度低下による値引き幅の拡大や、廃棄ロスを抑え
   現金化をはかる

などを行ないます。


2.無駄な人時を削減する


経費の中で、人件費がとびぬけて一番多いがスーパーマーケットの業態としての特徴です。
そして、人時売上高や人時生産性の低い企業が多くあります。

人時売上高や人時生産性の低いということは、
会社の営業利益率が上がりにくいということになります。
また、それと同時に、そこで働く社員の給与も上げることが出来ないということになります。

投入人時を減らすには、

(1)無駄な在庫を削減して、商品移動や手直しなどの無駄な作業を減らす(無くす)
(2)レジの稼働台数を曜日別・時間帯別に必要台数を割り出し、それに合うように
   担当者を投入する
(3)作業指示書を作成し、指示待ち時間や作りすぎや出し過ぎを無くす
(4)カートを効果的に使って、1回(往復)の補充量を増やす
(5)部門別の人時予算を策定し、予算内で収まるように、日々コントロールする
(6)店長が、各部門のムリやムダ、ムラが無いか、時間帯別に現場で確認し、調整
   を行い、全体のバランス配分と削減をはかる

など目標設定を行い確実に実行します。


3.欠品を無くす


発注精度が低く、在庫が多く、商品の値引きや廃棄などのロスが多い店舗(売り場)は、欠品も比較的多い傾向にあります。

欠品は、POSデータや帳票にも出てこないため、現場を注視していなければ分かりません。
開店時、ピークタイム、閉店前など、時間帯別の現場確認と改善活動を確実に行う必要があります。

主な欠品には、

(1)定番の欠品
   売れ筋商品に欠品が多く、荒利益の損失が非常に大きい

(2)メーカーの新商品の欠品
   テレビCMなどで頻繁に流れているような商品で、特売しなくても、適正値入
   で売れる

(3)季節商品の欠品
   季節の先取の商品で、新鮮味があり消費者の購買意欲の高い商品

(4)競合他社で売れていて、自社に無い商品
    
などがあります。

これらの商品は、利益貢献度が高く、徹底した管理で、欠品を防ぐ必要があります。

対策としては、

(1)POSデータの確認し、売れ筋商品を重点管理する
   ・低ランク品のフェイシングを縮小し、売れ筋品のフェイシングを拡大し、
    売り場在庫を増やす

(2)特に高回転商品は、必要に応じて、一定量のバックルーム在庫を持つ
(3)商品毎のライフサイクルを確認し、上昇トレンドになる商品のフェイシング
   拡大と在庫を増やす
(4)天候や地域行事などの情報収集を行い、必要に応じて発注量を増やす
(5)入荷日の単品別の「あるべき在庫量」を設定して、発注に当たる
(6)定期的に市場調査を行い、売れ筋商品の確認と品揃えをする

などです。

この他にも、営業利益率の改善には、多くの方法があります。
しかし、この3点に絞って、徹底的に改善を加えれば、間違いなく大きな効果が期待できるはずです。


基盤をつくり、体力をつけて、戦略を実行する


管理数値を売上高と利益率の2点の重視から、
営業利益率の向上を念頭に置いた、粗利益高と人件費、人時売上高、人時生産性、在庫削減などにしっかり目を向け、業務改善を行ない、運営基盤をしっかりと固める必要があります。

現状に問題が多ければ多いだけ、改善効果は期待できます。

上述の事例のチームも、
 ・定番の在庫削減
 ・定番の欠品削減
 ・荷受、補充作業の段取り改善
 ・カートの効果的活用
 ・定番発注の完全パート社員移行
などを行なった結果、大幅な営業利益の改善に繫がりました。

作業工数が削減され、少ない人時投入でも問題なくルーチン作業は遂行されています。
また、欠品が大幅に減り、粗利益率が向上しました。

今後は、売り場の活性化のために、積極的に販売計画や売り場展開に軸足を移していく予定です。

売上のアップが期待できない市場にあっては、完全にやり方を変える必要があります。

また、今後「最低賃金の引き上げ」などの政治課題も取り立たされています。

現状、生産性の低いチームは、大変な時代を迎えることが予想されます。
しかし、生産効率の良いチームは、さほど気にする必要はありません。

支払う賃金が高くなることが問題ではなく、低い生産性が問題なのです。

改善のポイントは、無駄な作業を根本的に無くすこと。
そして、人と時間の生産性を上げること。
強みを出せる戦略分野に、お金と人時の資源を集中し、差別化をはかること。


です。


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■最低賃金のアップと生産性の向上http://www.summit-rc.com/blog/manage/228/

■最低賃金など考えるな!(1) http://www.summit-rc.com/blog/improvement/738/

■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (前編) ⇒www.summit-rc.com/case/2714/



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