スーパーの業務改善入門

2008年07月03日

作業指示書の作成と効果的活用

厳しい価格競争の中で、単純に安売りを続ければ営業利益は激減します。場合によっては、赤字になることも覚悟しなければなりません。

一方、付加価値を高めていく努力をしているチームは、確実に利益の増加を生んでいます。限られた時間や資産を徹底して強みの出せるところに集中しなければなりません。

そのためには先ず、仕事のやり方、進め方を根本的に見直す必要があります。特にルーチン(日常業務)の改善を行い、全体としての処理時間を縮める必要があります。
そこで有効的な手段が、作業指示書の活用です。意外と簡単な仕組みですが、効果は絶大です。


作業指示書の作成の目的

営業戦略上の目的は、先述したように営業資産の選択と集中による、競争優位の確立にあります。作業指示書を活用することにより、ルーチン(日常業務)の作業時間を短縮し、付加価値業務に時間を割り当てます。
作業上の目的は、ルーチン作業時間の短縮と付加価値業務への時間配分にあります。

具体的には、
  ①指示待ち時間の削減
 ②言い間違い、聞き間違いによる、やり直しなどの無駄の防止
 ③作業の優先順位の設定と実行による欠品防止とその効果の拡大
 ④個々の作業量(加工量、補充量など)を適正化し、作り過ぎ、出し過ぎの無駄を防止
 ⑤確認などのための無駄な移動時間の削減
 ⑥発注や販売計画などの基幹業務に時間を確実にとる
 ⑦カウンセリング販売やメニュー提案、商品開発など付加価値業務への時間配分を増やし、
  直接的売上、粗利益の拡大
など、無駄を徹底して削減することによって、作業時間の短縮と配分を可能にします。

作業指示書の効果的活用により、多くの直接的、間接的効果が現れます。

直接的な効果として、
   ①ルーチン作業時間の短縮による人時削減(人件費削減)
  ②単位時間当たりの作業処理量が大幅に増え、生産性の向上
  ③欠品削減による機会ロスの削減と売上(粗利益)アップ
  ④作り過ぎ、出し過ぎによる商品ロス、時間ロスの低減
  ⑤発注精度の向上による欠品の削減(機会利益拡大)と在庫適正化(キャッシュ・フロー改善)
  ⑥販売計画の精度アップと実行により、売り場活性化
などです。

また、間接的な効果として、
  ①チームリーダーの『予測する力』がつく 
  ②チームリーダーが段取り上手になる
  ③部門(店)のチームワークがよくなる
などの意識改善効果も指示書の活用と時間の経過とともに現れます。

個人個人が、バラバラに作業を進めるのではなく、チーム全体として動くのです。効果は絶大です。


作業指示書の作成方法

具体的な作成方法と勘所を順追って説明します。

要点は、以下の通りです。

 <道  具> ボールペン
        指示書または、メモ帳(ダンボールでも良い)
        クリップボード(手板)

 <作成時間> 開店時間対応用・・・早朝、1回
        営業時間中  ・・・適時、数回

 <作成場所> 売り場補充用 ・・・売り場
        仕置き、仕越し・・・バックルーム

 <作 成 者> 部門責任者または、サブ担当者

 <記入内容>

 【加工指示書(基本形)】

CIMG1477.JPG

     ①品 名  ・・・加工する商品名、グレード、サイズなど

     ②規格・容量・・・盛り量、入り数(個、本など)
 
     ③加工形体 ・・・包装形体(トレー包装、袋詰めなど)

     ④加工数量 ・・・実施する処理量(ケース、個、本など)

     ⑤品番(計量器・呼出しコード番号)
             ・・・計量器(自動包装機)の設定番号

     ⑥優先順位 ・・・補充対象品の場合、売り場の在庫状況に合わせて表示
         ex.欠 品 ⇒ ◎
             品 薄 ⇒  ○
             その他  ⇒ 無印

     ⑦特記事項 ・・・特に注意することがあれば記入


   【補充指示書(基本形)】

     ①品 名  ・・・補充する商品名、グレード、サイズ、容量など
     ②補充数量 ・・・補充する処理量(ケース、個、本など)
     ③優先順位 ・・・売り場の在庫状況に合わせて表示
         ex.欠 品 ⇒ ◎
             品 薄 ⇒ ○
              その他 ⇒ 無印


作業指示書の活用方法

作業指示書の作成は、販売計画や作業計画などを勘案し、その効果を最大化する意味から、チームリーダーもしくは、サブ・リーダーが作成します。

  <加工指示書の場合>

   ①作成担当者は、作成した加工指示書を作業場の中央に掲示する 
   ②加工担当者は、加工指示書の優先順位に従って、加工を行なう
   ③加工担当者は、商品の加工が終了したら、補充用のカートに積み込む
              (仕越し用の場合は、所定の場所に保管する)
   ④加工担当者は、加工指示書の優先順位に従って、順次加工を行なう
   ⑤加工担当者は、②から④を繰り返す

 <補充指示書の場合>

   ①作成担当者は、作成した補充指示書を補充担当者に手渡す 
   ②補充担当者は、補充指示書の優先順位に従って、補充用カートに商品を積み込む
   ③補充担当者は、②の商品を優先順位に従って、補充する
   ④補充担当者は、②から③を繰り返す


作業指示書の応用

手順や方法に特別なものは特にありません。とても簡単なことです。しかし、作業指示書の活用によって、相当な時間が短縮できます。

また、応用編として、上記の加工や補充などの作業用のほかに、

  ●売価変更指示書 ・・・ 当日もしくは予約売価変更用
  ●POP作成指示書 ・・・ 当日もしくは予約POP作成用

など作業全般に応用できます。


作業指示書の作成の高度化

基本的な作業指示書の活用から少しレベルを上げる事例を一部紹介します。

  ◇レベルアップ1 単品指示量の調整

   例えば、鮮魚部門の刺身は、午前より夕方の販売量が多い商品です。
   午前中、作りすぎると時間の経過と共に鮮度低下を招きます。
   そこで、加工作業の進捗状況、陳列状況と同時に、売り場の午前の販売状況を確認し、単品の指示量を調整
   していきます。

   ex.刺身の事例
        <現 状>    <変更後>
   商品   A 10パック  ⇒  10パック
     〃  B 10パック  ⇒  5パック
     〃  C 10パック  ⇒  5パック
     〃  D  5パック   ⇒  3パック
     〃  E  5パック    ⇒  3パック
     〃  F  5パック    ⇒  2パック
     〃  G  5パック       ⇒  2パック 
    合 計  50パック      ⇒  30パック 

このように、刺身単品の製造量を減らせば、余った時間を切り身など他の商品の製造に取り掛かることが可能となります。その結果、開店時、少量多品種の品揃えを実現でき、開店時の売り場の充実度が増します。

刺し身のほかに惣菜なども同じような方法で改善できる部門もあります。

 ◇レベルアップ2 基準時間の設定

   鮮魚部門の刺身や惣菜部門のフライや天ぷらなど、加工にかかる作業時間を品目別に計測し、社内の標準時間を
   設定します。
      標準時間を設定する場合、標準レベル以上(技術精度、スピード)で作業が出来る担当者の時間を測定し、
   基準とします。
   単品別の標準時間が割り出せたら、作業指示書に応用して、「作業終了目安時間」として記入します。

ex.作業指示書の備考欄に基準(完了)時間を記入

         <加工数量>  <終了時間> ※備考の欄に記入
      商品 A 10パック
      〃  B  10パック
      〃  C  5パック     8:30
      〃  D  3パック
      〃  E  3パック
      〃  F  2パック
      〃  G  2パック     8:45
     
このように単純な作業指示書ですが、改善を加えることによって進化し、生産性の向上と売り場の付加価値の向上を実現できます。

現状活用していないチームは、即実行してみてください。作業全体の流れが無駄なくスムーズに進むことが実感できるはずです。

そして、体にも気持ちにもゆとりが出来、チームワークも良くなり生産性も向上するはずです。



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