スーパーの業務改善入門

2008年06月25日

お金を使わず、レジの人件費大幅削減

最近、1日平均売上高480万円のスーパーマーケットで、月間45万円のレジの人件費が削減できました。年間の削減額は、実に540万円になります。
営業利益率2%であるスーパー場合、540万円の利益は、1億800万円の売上高に相当します。
科学的に稼動計画を立てている店舗は別にして、月に10万円から30万円程度の削減は、ほとんどのスーパーで可能です。
現場を確認すれば、無駄な人時投入が見えてきます。答えは現場にあります。

■答えは簡単

削減のポイントは、簡単です。
手持ち無沙汰で待機している社員を時間帯別に削減していくのです。
時間帯別に変化するお客様の数に、レジの稼働台数を合わせることです。
売り場に出て、精算をするお客様の数と稼働中のレジの稼働状況(人員数)を観察すれば、レジの稼働台数が適切であるか否かはすぐに分かります。

レジの投入台数が過剰であることと、レジのサービスレベルが高いこととは、全く関係がありません。適切であることが求められます。

■売上高実績データの活用

売上高実績データを活用して、レジの必要稼働台数を曜日別・時間帯別に割り出します。売り上げ実績データを検証すると、曜日別の来店客数や売上高が似通っていることに気が付くはずです。

<売り上げ実績データの加工手順>

 ①直近3から4週の曜日別・時間帯別の売上実績レポートを用意する
 ②曜日別時間帯別に売上高データを集計する
 ③曜日別・時間帯別に売上高(客数)の平均を算出する
 ※天候の悪化や特売日などの特出した日のデータは使用しない

■レジ台数の設定・・・曜日別・時間帯別

次に、レジの適切な稼働台数を、曜日別・時間帯別に割り出します。
上記で算出した、曜日別・時間帯別に売上高(客数)の平均データを使って、適正レジ台数を割り出します。
ここで必要になってくるのが、『人時登録高』という数値です。1人時に対して、どれくらいの精算登録高(売上高)に設定するかということです。

例えば、ある時間帯の売上高が16万円と予測した場合、人時登録高が8万円の場合、
16万円÷8万円で、2という数値が割り出されます。この数値が、レジの必要台数ということになります。

<稼動レジ台数の設定方法>

 ①曜日別・時間帯別に売上高(客数)の平均データを用意する
 ②『人時登録高』を決定する
 ③①÷②で、各曜日の時間帯別の稼動レジ台数を割り出す
 ④③の稼動レジ台数の端数を、整数または、0.5単位に修正する
   ex.3.22→3 , 3.45→3.5

■人時登録高の決定方法

各店舗によって、客単価やレジ担当者のスピードというように、レジの時間帯別・設定台数を割り出すのは容易ではありません。
現場では、厄介な問題もあります。例えば客単価は、同じ店舗でも時間帯によって極端に変わる場合があります。工場やオフィス街などで、お昼のお弁当が良く売れるような立地であれば、昼の時間帯の客単価が極端に低くなるところもあります。
時間帯の売上の場合も、都市部で、駅前立地である場合、電車の到着時間によって、客数が一挙に増えるという店舗もあります。
というように、ひとつの人時登録高で単純にすべてが解決できるわけではありません。

しかし、何かの数値を持ってレジ台数を割り出す必要があります。そして、その基準数値にしたがって割り出したレジ台数を現場で適正に調整していくのです。

<人時登録高の決定方法>

 ①休み無く精算が続くレジの1時間当たり登録高を調査する
 ②調整係数を設定する(通常0.8から0.7程度)
 ③①×②で人時登録高を設定する
 
■調整係数の必要性

上記のように、調整係数を使うと今まで算出したデータがいい加減になってしまうように感じる人もいるでしょう。しかし、これが非常に大切なことなのです。
稼動計画を科学的にたてるということは、第一に、レジの精算待ちで何分も並んで待つというような、お客様の不満にならないようにすることです。単純に人時登録高を上げるということではありません。

<調整係数の考え方>

 ①お客様の不満につながる、ギリギリの稼働台数をさける
 ②一時的に客数が増えても対応処理できるようにする
 ③個人別のスピードや技術レベルの差を調整する

■とにかくやってみる、そして、現場で調整を繰り返す

大事なことは、一度策定して、実際に活用してやってみることです。いきなり100点を取る必要はありません。あくまでも、お客様を中心に考え、不都合なところを調整していけば良いのです。当然時間帯別の調整は必要になるでしょう。担当者のスキルによっても調整が必要にもなってくると思います。

<心得ておくべき要点>

 ①事前に完全に人員数が過多と判断できる場合は別として、
   いきなり個人別の出勤時間を変更しない
 ②稼動計画台数より出勤人数が多い場合は、レジには入らず、
   レジ以外の業務または、挨拶や動作などのスキルアップ訓練を行なう
 ③人時登録高を活用した、新しい稼動計画で運用する場合、
   こまめに現場での検証を行い、日々問題点の発見と改善を繰り返す

■人時登録高は、目的ではない

人時登録高は、ひとつの目安であって、上げることを目標にするものではありません。時間帯別にレジ台数を適性に保つための店舗ごとの指標です。

ただ、人時登録高が高いということは、チーム全体のスキルの結果であるともいえます。商品登録や金銭授受などの動作改善を常々繰り返し、スピードアップのための日々の訓練は当然必要です。
しかしまた、お客様が5人も6人も常々レジに並ぶようではいけません。

今まで、人時登録高という考え方が無かった企業にとっては、改善行動を取っていただければ、大きな進歩になるでしょう。企業によっては、相当な人件費の無駄が無くなるでしょう。

必要でなくなった人件費(人時)を有効に使って、更なるサービスレベルアップにつなげていただければ幸いです。



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