スーパーの営業戦略入門

2010年08月19日

ザ・リッツ・カールトン 伝説のサービス

8月14日、ザ・リッツ・カールトン東京で、
ダイアナ・オレック女史のセミナーに参加させていただきました。


彼女は、ザ・リッツ・カールトン、グローバル・ラーニング・アンド・リーダーシップ・センター副社長で、
全世界のザ・リッツ・カールトンの従業員約32,000名の社内教育総責任者です。



その一部を紹介しますと、


・伝説的なサービス(レジェンダリー・サービス)とは、
沢山のお金を掛けなければ実現できないものではない。


・リッツ・カールトンで実践していることは、
実行することが簡単なことです。


・このコースを通して、私達は一貫性が大切であることを学びます。


・リッツ・カールトンの紳士淑女(従業員)は、お客様に高いレベルの
サービスを提供する上で、最も重要な資源となっています。


・上質なサービスを実行するためには、
正しくリーダーシップが発揮される必要があります。


ザ・リッツ・カールトンの詳しい内容は、他の書籍やレポートをお読みいただくとして、
今回セミナーに参加していただいた、
ザ・リッツ・カールトン東京の従業員(紳士淑女)の皆様の話をご紹介します。


■ リッツ・カールトンの一員として誇りに思うこと(時)


「リッツ・カールトンで働いていてどういうときに誇りを感じますか」
という質問に対して、



セフ Aさん(男性 勤続1年)

   他の従業員から「ありがとう」と言ってもらった時です。
   「ありがとう」は、宝箱です。


ドアマン Bさん(男性 勤続3年)

   スタッフ全員が、
   ゲストをハッピーにしたいという思いで、
   日々仕事をしているということです。


ルーム・サービス Cさん(女性 勤続3年)

   大変シャンパンがお好きなご夫婦のお客様がお泊りになった時のこと。
   「バーが騒がしいので、あまり好きではない」
   「静かな部屋でシャンパンを飲みたい」ということで、
   シャンパンのルーム・サービスを2度注文されました。
 
   お客様が、外出された時間に、
   各スタッフの協力を得て、ミニ・バーをお客様の部屋にお作りました。

   後日、
   「今までに飲んだシャンパンで、一番美味しかった」
   というお手紙を頂きました。

   みんなの協力で実現できました。

   そんなチームが私の誇りです。


レストラン Dさん(男性 勤続3年)

   若いご夫婦の記念日(1周年)、デザート・プレートをご注文された
   お客様のお話。

   「妻が、重い病気にかかって、今年来られるかわからなかったんです」
   「でも、来れて本当によかった」
   という、お客様のお話をお聞きし、
   ローソクを用意させて頂き、「おめでとうございます」のメッセージを
   添えました。

   「東京タワーを見ながら、ローソクを消すと、
          願いごとが叶うそうですよ、、、」

   奥様は、ローソクを見つめながら、涙を流されていらっしゃいました。


レジデンス(住居棟) Eさん(男性 勤続7年)

   ゴールド・スタンダードの下で働けることを誇りに思います。


コンシェルジュ Fさん(男性 勤続1年)

   リッツ・カールトンの制服を着ること。
   お客様に「さすが、リッツ(カールトン)ですね」と
   言っていただけたときです。



スタッフの方々のそれぞれの強い思いが感じられる答えでしたが、
共通していることは、
仲間を信頼し、協力し合い、
お客様に期待を超える、喜んでいただくことをしよう
ということです。



■ 常にレーダーを張る、アンテナを立てる ~ お客様のニーズの先読み


「一人ひとりのお客様のニーズを先読みすし、お答えします」
というのが、『サービスの3ステップ』の2番目にあります。


具体的な行動としては、

 ・お客様の仕草を観察している
 
 ・お客様の会話をダンボの耳で聞きいる

 ・差し障りのない会話から情報を得る

 ・次に繋がる会話に心がける。意味のない会話はしない

 ・お部屋のごみ箱の中身も確認する

 ・タクシーでお越しのお客様のタクシー会社名、料金メーター、
  アベックの場合、どちらが料金を払うか、女性をエスコートしているかなど


などなど沢山のテクニックを教わりました。



クレドの最初に、

リッツ・カールトンは
お客様への心のこもったおもてなしと
快適さを提供することを
もっとも大切な使命とこころえています。


と書かれています。


それを支える日々現場での
一人ひとりのスタッフの努力が
97%のお客様が喜ぶサ―ビスとして
実現しているのです。


ちなみに、
お客様の好き嫌いなどの情報は、
「プレファランス(好み)・用紙」に記入し、
印刷されて全員に配布し、情報を共有化しているそうです。



■ 毎日のラインナップ(朝礼) 


クレドの真の理解を深めること、
そて、本番に強くなるために行われるのが、毎日のラインナップです。


内容は、


 1.本日のゴールド・スタンダード

  ex.「心のこもったおもてなし」とはと題して
  ※ロールプレイでシミュレーションを行い、意見交換を行う


 2.世界中の「ワオ・ストーリー」 月曜日と金曜日に実施

  おもてなしに対するお礼のブログの紹介
  期待を大きく超えるサービス体験の一般公開


 3.グッドアイデア、お客様からの情報

 
 4.本日の言葉

  作家の言葉などを紹介


毎日のラインナップ(朝礼)は、
15分から20分程度の時間で、部署ごとに実施されるそうです。

昨日の実績や報告を一方的に行われる報告的な朝礼とは、
まったく別のものです。


まさしく「心・技・体」を毎日の訓練で、「磨きこむ」という印象です。



■ ラテラル・サービスとファーストクラス・カード


ファーストクラス・カードは、従業員同士で、「感謝の思いを書いたカード」を相手に渡す仕組みです。


ラテラル・サービス(従業員同士が職責を越えて助け合うこと)が、
当たり前に行われる仕組みが出来上がっていて、
感謝の印として相手に渡すものです。

手渡す前にコピーを取り、
コピーは人事部に提出されます。
内容は記録され、人事評価の資料として使われるそうです。

手助けした従業員は他の部署からも尊敬され、
会社からも評価されるというもの。


「気軽に助け合える環境」がととのっていて、
お客様の満足や
従業員の負担の軽減など
生産性の効果も大きいと思います。



■ 「まだまだ、これからです」


リッツ・カールトン大阪は、
1997年に大阪市の梅田で開業し、
2003年に日経ビジネス誌で国内ランキング1位になる
など高い評価を得ています。


今回、リッツ・カールトン東京の
人材開発部長の 桧垣 真理子さん に個人的に
お話を伺いました。

「バックヤードでの従業員同士や取引業者の方々との様子はどうでしょう」とお聞きすると、
「リッツ・カールトンでは、従業員も関係会社の方々もすべての方がお客様です」
「スタッフ同士も相手の思いの先読みをします」
というお答えでした。


そして最後に、
「まだまだ、これからです」とおっしゃられたことが非常に印象深く、私の心に残りました。


これは、他のホテルと比べてどうこうということではなく、
リッツ・カールトンが目指している目標(意識)が高いという意味だと思います。


オープンして4年目、これからも日々のスタッフのレジェンダリー・サービスの蓄積が「信頼と信用の預金」となって確実に大きく膨らんでいくことでしょう。


このことは、
どのような会社でも共通であり、
リーダーシップが問われの部分です。


皆さんの会社でも、「レジェンダリー・サービス」とまではいかなくても、
「お客様に喜んでいただく小さな行動」について、
取り組まれることをお勧めします。


お店は大きく変わります。

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