スーパーの営業戦略入門

2010年03月18日

筍を200%売る

3月も中旬になり春の彼岸を迎える。

野菜売り場に、筍が並びだした。

昔は、「筍」や「えんどう豆」など旬の野菜は、単品で大きな売上を稼いだ。

そして、消費者の「旬のものを食べたい」というニーズも、非常に高い。


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しかし、売り場では、
「最近では、昔のように旬の商品の売上は期待できなくなってきている」
という声をよく聞きます。

消費者が買わない理由を考えると、

 ・調理に時間が掛かる
 ・アク抜きなど手間が掛かる
 ・ゴミが出る
 ・調理用の大きな鍋がない
 ・調理の仕方が分からない

などでしょう。


また、地方に行くと、「出始めは、少し売れるが、ピークの時には全く売れない」という声も聞きます。
田舎では、竹林を持っているご近所の方から頂くということも多いらしい。そして、ゴミなどの問題は、都会も地方も同じです。


それでは、売る側の店は、これを「仕方ないと」単純に諦めていいのでしょうか。


「地域のお客様の食生活を豊かにする」のが、スーパーマーケットの務めです。
旬の美味しい野菜を「美味しく味わっていただく」ことです。



■ 商品を売る努力


生の筍は売れなくなっているのは、事実かもしれません。
しかし、「売る努力」がどれほどのものかということも問われます。

筍の例で言うと、
 1.青竹やその葉っぱなどを使った売り場の演出
 2.POPで産地の場所を知らせる地図や竹林や生産者の写真
 3.美味しそうな筍メニューの写真や調理見本
 4.アク抜きなどの下ごしらえ、若竹煮、土佐煮、天ぷら、筍ご飯、
   ちらし寿司などのレシピーのPOPとリーフレットの提供
 5.生産者による直接的なセールス
 6.調理したメニューの試食提案

など、やることはいくらでもあります。


また一方、
「京都・山城産の朝掘りたけのこ」
「福岡・合馬産の  〃    」
など、有名産地の商品の販売も考えられます。

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このように、消費者が
「一度食べてみたい」と思わせるような仕掛けが大事であるし、
筍などの特殊な素材の場合、並べているだけで簡単に売れるような時代ではなくなっています。



■ 商品を売っているのではない


消費者が買わない理由であると考えられる、

 ・調理に時間が掛かる
 ・アク抜きなど手間が掛かる
 ・ゴミが出る
 ・調理用の大きな鍋がない
 ・調理の仕方が分からない

などが問題であるのならば、
このことを解決してあげることが、効果的に売上を上げることに繫がります。


<野菜売り場>
 1.店内(または、産地物)でボイルしてアク抜きしたものを売る
 2.レシピーのPOPとリーフレットの提供
   ※若竹煮、土佐煮、天ぷら、筍ご飯、ちらし寿司、サラダなど
 3.木の芽やわかめ、調味料などの関連陳列

<惣菜売り場>
 4.若竹煮、土佐煮、天ぷら、筍ご飯、ちらし寿司などの販売

<加工食品売り場>
 5.竹の子ご飯の素などの販売

など、筍を全店で売り込むのです。

出来れば、同じ産地の筍を使った企画になれば、効果も大きくなるでしょう。



「生の筍を売る」というこれまでの単純な発想ではなく、
この時季、地域のお客様に少しでも多く「筍の旬」を伝え、「味わっていただく」という発想です。




顧客に自店を利用していただき、どれくらい筍を食べてもらったかが問題なのです。
スーパーマーケットにおいて、これからの売り場づくりで非常に大切なポイントです。


筍を野菜売り場でいくら売ったかではなく、
店舗全体でいくら売ったかということが大事なのです。


当然のことながらPOSデータも、野菜売り場の筍だけではなく、
筍関連全般で捉え、売上を上げる(管理する)努力をすることが大事です。

そして、それがロスの低減と荒利益の拡大に確実に繫がります。

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