スーパーの営業戦略入門

2009年12月05日

目先の売上を追うな

不景気、デフレなど厳しい環境の中、既存店の対前年比の売上高が下がり、深刻な問題になっているスーパーマーケット業界。

低迷している売上を上げようと、多くの企業が必死になっています。

チラシ攻勢をかけた安売り合戦。徐々に商品価格が下がり、荒利益率の低下をまねく。
しかし、安売りをしたからといって、たいして売上が伸びるわけでもない。

このような状況が、多くの地域で起こっているのではないでしょうか。


私は、クライアントに「目先の売上を追うな」と指導しています。

売上をあげることは、「目標」ではなく、手段、方法の一つに過ぎないからです。

営業活動の「目的」は、営業利益の確保、拡大、改善なのです。
一時的に売上が上がったからといって、ただの安売り合戦で立てた売上では、営業利益のアップには繫がりません。殆どの場合は、売上高と反対に営業利益が確実に低下してしまいます。


専門家の予測では、デフレはここ一二年続くと言われています。

市場を取り巻く環境を見ても、

1.構造的な、少子高齢化、過疎化、人口の減少など
2.ライフサイクル上、成熟期にあるスーパーマーケット
※ 導入期 ⇒ 成長期 ⇒ 成熟期 ⇒ 衰退期
3.異業態競合
  ※ SM対SM以外のドラッグストア、ホームセンター、業務スーパーなどとの競合
4.円高などの影響による、メーカーの工場の海外移転、閉鎖
5.インターネットの普及で、ネット販売高が拡大

などなど、商環境は大きく変わってしまっています。


また、インターネットの普及により、消費者の情報を取り込むスピードが、とんでもなく速くなっています。


環境が変わり、過去のような状態には戻らないのですから、商売のやり方自体を販売、管理両面で変えなければなりません。
将来に向けてステップを踏むためにも、今の売上規模で営業利益の確保ができる、戦略や体制を整えることが重要です。


逆算方式で考える


通常多くの企業では、
経費がいくら掛かるから、荒利益をいくら稼がないといけない、売上がいくら必要だという「積み上げ(加算)方式」が基になって運営されています。

今後大切なことは、
売上が上がりにくい環境では、営業利益を基軸に考え、荒利益額の改善と経費の削減という、「逆算(減算)方式」で考えることが重要です。


単純で当たり前の改善活動なのですが、全社的な活動になっている企業は、非常に少ないように思います。

例えば、
荒利益が10万円増えて、経費を10万円下げることが出来れば、
20万円の営業利益のアップに繫がります。
仮に、1%の営業利益率の企業であれば、
2000万円(20万円×100)の売上高増に匹敵します。


荒利益アップを考える


荒利益額の改善は、単純に値入れ率を上げるということではありません。

基本的な対策事例としては、

1.開店時、夜間を含む欠品の削減・・・特に売れ筋、売り込み商品などの重点商品
2.出しすぎ、作り過ぎによる値引き、廃棄ロスの削減・・・早期見切り処理の実施
3.発注精度アップ・・・現場の観察、POSデータの活用(単品別管理)

などについて、完成度を追求することです。


経費を下げることを考える


一方、経費の削減は、先ず、経費率(売上対比)の多いものを重点的に管理することです。

1.人件費(給与、賞与、福利厚生費など)
2.地代家賃(店舗、駐車場、倉庫などの家賃)
3.販売促進費(新聞折込チラシ、カードポイントなど)
4.水道光熱費(電気、ガス、水道など)

などの順に額が大きく、重点管理経費になります。
※企業によって順位は異なる場合もあります


人件費削減の主なポイントは、

1.無駄な在庫を削減・・・陳列、加工、見切り処理などのための
無駄な作業(工数)を減らす
2.作業指示の徹底・・・作業指示書などを活用し効率的に作業を終わらす
3.作業者の訓練・・・加工や補充など基本動作の訓練とスピードアップをはかる
4.残業の禁止・・・人時目標設定と遵守

などです。


地代家賃は、

相手のあることですから、単純ではありませんが、経済状況を考えれば、家賃交渉は必然的に行なう必要があります。
営業利益改善を念頭に置けば、当たり前の行動です。
また、倉庫などを借りている場合などは、在庫を減らして、返すという方法があります。固定費が確実に減ります。


販売促進費は、

新聞折込みチラシやダイレクトメール、会員カードポイント、各種イベントなどが主なものです。
売上至上主義の根本の部分でもあります。
特売で、オペレーション費用が膨らみますし、選定商品の支持が低かったり、発注精度が低ければ、特売残品の処理にも多くの手間と費用が掛かります。

費用対効果をしっかり検証し、効果の薄いマンネリ化した販促方法は、止めることも選択肢の一つです。
逆に、今使っているチラシ代を元に、もっと効果のある販促方法がないか検討することも大切です。


水道光熱費は、

電気代、水道代、ガス代などですが、
「使わない時は、消す」ということが大原則です。

開店準備中のハロゲン照明やオープンケースの庫内灯、
誰もいない事務所やトイレの蛍光灯、
などなど、
無駄が多い、管理されていない店舗は、不必要な水道光熱費が沢山掛かってしまいます。

全体で、ルールを決めて実行すれば、大きな削減効果が期待できます。


次の戦略が大事


営業活動と並行して、改善活動を確実に行ない、営業利益を安定して出せるような仕組みを完成させ、次のステップを策定します。


会社の強みとして、何処の部門で勝負するのか、
・・・そのための予算組みはどうするのか・・・

どんなお客様をターゲットとして考えるのか、
   ・・・どんな商品、どんなサービスを強化するのか・・・

そのために身につけなければいけない、知識やスキルは、
   ・・・どんな方法で習得するのか・・・

などを具体的に策定する必要があります。


「安さ」だけでも、企業規模や地域によっては、生き残りは可能かもしれませんが、

基本的には、

「美味しい」
「安心・安全」
「健康」
「簡単・便利」
「楽しい」

といったことを、お客様が日々実感(体感)できる売り場作りの努力が必要です。

少し贅沢・・・
少しリッチ・・・


というような商品や企画、サービスは、確実に売れています。

不景気だから売れない(買わない)ことも確かかもしれません。
しかし、その中にあっても、お客様のニーズにあったものは確実に売れています。


売上の立て方も徐々に変えていく必要があります。
コモディティ・グッズの安売りだけでは、会社の生き残りの可能性は低いと考えます。


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■最低賃金など考えるな!(1) http://www.summit-rc.com/blog/improvement/738/

■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (前編) ⇒www.summit-rc.com/case/2714/



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