スーパーの業務改善入門

2016年01月27日

生産性アップは、営業利益と報酬アップ(2)

前回に続けて、生産性をアップさせるために、現場で見られる課題に対する改善策について、簡単に解説を入れておきたいと思います。

生産性を上げるということは、ケチケチ経営をやるということでは決してありません。
勿論、今まで続けてきたムダは排除すべきです。日々やっていることが、大した付加価値を生んでいないということについては、即座に止めるとか、生産性の高いやり方に変えるということが必要です。

現場の個人個人のスキルアップ計画

個人の業務スキルについては、企業間で大きな差があります。
チームの人時売上高で数値を確認しても格段な違いがあります。

生産性を向上させる上で一番大事なことは、従業員個人のスキルアップ計画が、社内の仕組みとして存在しているか、ということです。
ただ日々業務をこなしているだけでは、各個人のスキルアップは実現できないと言えます。また、一個人の努力で実現できたとしても、チームとしての力は増しません。

3か月、半年、1年というように、個人別のスキルアップ計画が実行されることが、チームとしての大きな力となってきます。

マテハン機器の導入と効果的使い方

マテハンとは、マテリアル・ハンドリングの略です。物流工程や使う機器についてのことです。

スーパーマーケットでは、商品の入荷から売場作りまで、その工程全体において、作業の種類に合った機器を選定し効果的に使うことで、効率を高め生産性を大きく向上させることができます。

特に、カット台車やトレーカート、ロングカートなどの店舗内でよく使われるカートの整備と、正しい効果的な使い方の訓練が重要になってきます。

また、会社全体としても、社の内外に関わらず、カーゴテナーなどの物流機器の整備も全体としての物流コストと効率を大きく左右するものです。
戦略的な整備や訓練によって、現場の作業負担と時間を軽減し、余った時間を付加価値業務へシフトするという戦略的検知が求められます。

店舗レイアウトと生産性

店舗レイアウトは、売り場とバックヤードの中での、バックルームや設備機器などの配置配列のことです。
売場のレイアウトは、店内は勿論ですが、駐車場からのエントランス・ホールとの関係も重要です。また、バックルームのレイアウトも同様に、作業場の配置や通路だけではなく、納品のトラックの誘導経路や導線も関係します。
特にバックルームのレイアウトについては、荷受場からバックルーム、バックルームから売場へと、また、バックルーム内の各設備什器の設置を、作業の流れを十分に検証し、作業動線が長くならないように科学的に考えることが重要です。

また、売り場に於いては、主通路の幅と長さ(広く、長く)、マグネットの効果的設定(視認率、立寄り率のアップ)などを十分考慮して、レイアウトを設計する必要があります。
この意味から、最終のレジの配置などは、効果を左右する大きな要素になります。

どちらにしても、一度作ったレイアウトは、単純に変えることが出来ません。費用対効果を考えれば、科学的に熟練したレイアウトマンの存在が、投資費用低減やランニング・コストの低減。そして、得られる成果の上から非常に重要であると言えます。

専門家が社内にいない場合は、費用は掛かっても、これらのことを理解している専門家に外注することを強くお薦めします。(私は、専門です(笑))

在庫(数量)管理の重要性

在庫については、商品のバックルームと売り場における在庫と、包装資材などや備品関係などの在庫を意味します。
言うまでもなく、無駄な商品在庫は、鮮度低下による値引きや廃棄のロスに繋がります。汚損破損によるロス。そして、無駄な作業の発生による人時(人件費)ロスを発生させてしまいます。
また、慢性的な在庫過多状態の会社は、ムダに広いバークルームのストックヤードが必要になり、売り場面積を狭めてしまうことにもなります。
このように、不要な在庫は、大きなロスとコストを生む元になるのです。

売り場に於いても、さほど回転していないエンド陳列商品や平台の在庫は、お客の目にも変り映えしない売場と写り、不動産効率を確実に低下させてしまうことになります。
定番に置いても、POSデータなどを活用して、死に筋品のカットや新規導入品への入れ替え、重点商品のフェイシング(在庫)拡大という様に、単品管理を科学的に行い、計画的に売場のブラッシュアップを行うことが重要です。

POSの戦略的活用

POSは、ポイント・オブ・セールスの略です。売場の販売実績数値を意味します。
単品管理や企画管理など、戦略的に実績データを活用すれば、大きな収益拡大に繋がります。

しかし、POSシステムは、かなりの確率で効果的に使われていないのが実情です。
計画の仮説検証を行う上で、POSから得られるデータは、定量データの要になるものです。社内での効果的な活用の仕組みづくりと、実践的に活用する教育訓練が重要です。実地の確認による定性データと合わせて、P-D-C-Aのサイクルを回す癖付けが社内に求められます。

稼働計画と修正力

稼働計画は、日々の販売計画に対して、戦略的に人の配置や人時投入を適材適所で行うことを指します。

先述したように、人件費は、スーパーマーケットにおいて最大の経費です。
そのコントロールの善し悪しは、商品化や売場づくり、接客接遇などのサービスレベルに大きく関わり、チャンスロスや人時ロスなどにも関係しますので、リーダーの重要管理能力が求められます。

コントロールとは、販売計画や稼働計画と現場実績のギャップを埋めて、最終的に計画予算(目標)を達成するための一連の修正業務のことです。特に、人に関わることについては、このコントロールの技術が、リーダーの最優先の主体業務であると言えます。

チームの力となる仕組みづくり

仕組みは、システムと言う用語でもよく使われます。全体的な制度や体型のことを指します。

個々の目的を達成するための、業務の進め方のルールや手順が社内で決まっている。そして、教育訓練されていて当たり前のこととして、日々実行されるようになっていることが、『仕組み』になっているということです。

なかなか結果が出せないということや、個人によって結果が異なるということは、制度や体型としてルーティン化されていないことになります。
成果を確実に上げるには、書面や動画を活用しマニュアル化することと、日々の教育訓練が重要で、確実に成果を生むことに繋がります。

やる気の出る人事制度の策定

私は、「やる気の出る人事制度」という人事制度を体型として作りあげ、クライアントに活用してもらっています。

社会人としてのルールやモラル。会社の戦略に対することや、部門内での目標。その他、個人の成長計画に対する改善行動(プロセス)の進行状況や一定期限の結果など、定量と定性で人事考課を行います。

結果だけを見るのではなく、改善行動のプロセスに対して、リーダーと本人でよく話し合い、課題の共有を行い、目標を達成(成長)することを重視します。

本部機能の意味

本部は、店舗の支援部隊です。

特に生産性を考える上では、店舗の作業工数の低減をはかるための仕組みづくりを行うことを念頭に置くことが重要です。 特に、判断業務を伴わない単純作業などについて、徹底して工数削減をはかるべきです。
そして、店舗側が、よりお客目線での対応に時間を確保して使えるようにすることを念頭に置いて、あらゆる改善を戦略的に行います。

会議やリーダーシップ

会議は、P-D-C-Aの正しいサイクルを回すための場であると言えます。
反省にやたらと長く時間を取ることや、リーダーの鬱憤晴らしをする場では決してありません。

課題に対しては、原因を突き止め、より良い方法を話し合い、再度仮説を立てて、改善行動を行います。
そして、その行動結果に対して再度検証を加えるという手順を繰り返し、全体としてのレベルを確実に向上させていくための大事なプロセスが会議です。
みんなでより良いアイデアを出し合って、チームとしての相乗効果を発揮することに意義があると言えるでしょう。

リーダーシップは、計画の目標を達成し、更に余りある成果を出せるよう、メンバーを正しく導くことです。チームメンバーが「結果を出すことができる」ということが、真のリーダーの役目であると思います。

生産性向上と業務改善

このように、会社全体で取り組めることは幾らでもあります。

現状に甘んじるのではなく、
「もっと良い方法は無いか?」と、生産性の向上を常に意識して行動することが重要です。

外してはいけないことは、お客様目線(満足)と従業員目線(満足)です。このことを無視した業務改善は有り得ません。
た、このことを無視して、一時的に良い結果が出たとしても、長い目で見たら大きな損失に繋がります。

人は、「気持ちよく働く・・・時(場所)」が、一番生産性が上がるのです。
『良い仕組みを作り上げる』ことのできるチームにすることです。


サミットリテイリングセンターは、スーパーマーケットの生産性アップの多くの実績を持つ、『業務改善専門』のコンサルティング会社です。なんなりと、お気軽にお問い合わせください。きっと、問題解決の答えが見つかるはずです。


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生産性アップは、営業利益と報酬アップ(1)www.summit-rc.com/blog/improvement/2812/

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■最低賃金など考えるな!(1) http://www.summit-rc.com/blog/improvement/738/

■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (前編) ⇒www.summit-rc.com/case/2714/



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